これで完ぺき!わかり易い【事業主借】のポイント4つ

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事業主借(じぎょうぬしかり)とは簡単にいうと、個人事業主が『事業に無関係な収入』がある時に使用する勘定科目です。
法人では出てこない勘定科目ですので、法人で経理をしていた方でも、事業主借はよくわからない方も多いのではないでしょうか。

ここでは事業主借についてわかりやすく説明しています。
ぜひ参考にしてください。

もくじ

1. 事業主借とは、事業に無関係な収入のこと
2. 事業主借の具体的な事例
3. 事業用の口座に利息がついた時の取扱い
4. 事業主借と事業主貸は相殺して元入金に振り替える

 

1. 事業主借とは、事業に無関係な収入のこと

事業主借とは、個人事業主の事業に無関係な収入のことで、次の場合に使用する勘定科目です。

・事業主のプライベート用から、事業用に持ち込んだお金
・入金されたお金の内、事業の収支計算には関係ないもの

個人事業をしている事業主は、その事業について収支計算を行って、利益を計算し確定申告をする義務があります。
収支計算をするにあたり、帳簿を作成することになります。
その時に次のような収入が考えられます。

・事業用のレジ、金庫または帳簿にのせている通帳にプライベート用のお金を入れた
・事業用のレジ、金庫から事業とは関係ない収入が入金された。または帳簿にのせている通帳から事業とは関係ない収入が入金された

このような場合に事業主借という勘定科目を使用します。
ここでいう事業主とは、いわゆる個人事業主やフリーランスのことを指し、株式会社など法人の代表者は指しません。

事業主借という勘定科目は、個人事業に特有のもので、法人会計にはない勘定科目だからです。
事業主借の反対の意味で使う勘定科目に「事業主貸(じぎょうぬしかし)」があります。

事業主貸は、事業の収支計算に無関係な支出と覚えると良いでしょう。
つまり、事業に関係ない出金は「事業主貸」、事業に関係ない入金は「事業主借」となります。

【仕訳】
借方 貸方
普通預金 10,000 事業主借 10,000

 

2. 事業主借の具体的な事例

事業主借の具体的な事例は以下の通りです。

事業主借の具体的な事例

  • 事業用の文房具を、プライベート用のクレジットカードから支払った
  • 事業用のお金が足りなくなったので、プライベート用のお金を事業用の口座に入金した
  • 事業用の口座に利息がついた

基本的にはプライベート用のお金を事業用に持ち込んだり、入金した場合は事業主借です。

また、上記には「事業用の口座」や「プライベート用のクレジットカード」という記載をしていますが、そもそも事業用とプライベート用に分けていない場合も多くあるかと思います。
そうすると、当然口座明細やクレジットカード明細の中にプライベート用のものが多くなり、事業主借が増えることになります。

できれば、口座やクレジットカードは事業用とプライベート用に分けて利用しましょう。

銀行の口座に利息がついた場合は、以下の3でご説明します。

 

3. 事業用の口座に利息がついた時の取扱い

事業用の口座に預金利息(利子)がついた場合の勘定科目は、事業主借で処理します。
仕訳は以下のとおりです。

(借)普通預金 150  (貸)事業主借 150

法人会計の場合は「受取利息」の勘定科目を使用しますが、個人事業主は事業主借を使用します。

預金利息は、源泉徴収されているので確定申告不要の所得です。

預金利息(利子)は、所得の分類としては「事業所得」ではなく「利子所得」にあたります。

帳簿は「事業所得」を計算するために作成しますので、「利子所得」である預金利息は、事業所得の収支計算には関係ないので、事業主借として処理するのです。

 

4. 事業主借と事業主貸は相殺して元入金に振り替える

確定申告の際は、事業主借と事業主貸を相殺した残高の差額を、元入金(もといれきん)に振り替えます。

元入金とは、法人での「資本金」にあたります。
個人事業主として開業するにあたって、事業主があらかじめ用意した開業資金や準備金が元入金です。
(法人会計では元入金という勘定科目はありません。)

資本金との大きな違いは、毎年金額が変わるということです。

帳簿上、次年度へ会計処理をスタートさせる際に「元入金」を使って仕訳をし、事業主借と事業主貸の金額を0にして期首をスタートさせる必要があります。

ですので、確定申告時には、事業主借と事業主貸を相殺した残高の差額を、元入金に振り替えます。

具体的には以下の通りです。

期末の帳簿
・事業主借…200
・事業主貸…600
・今年の事業で得た利益…100
・元入金…100

翌期期首の帳簿
・事業主借…0
・事業主貸…0
・元入金…△200

※わかりやすくするために簡単に表現しています。
実際には(期末の元入金の額)+(青色申告特別控除前の所得金額) +(期末の事業主借)-(期末の事業主貸)で求められます。

事業主借が多い場合は元入金をプラスし、事業主貸の方が多い場合は元入金をマイナスします。

上記の例では、儲かった利益より事業主貸の方が多い、つまり利益より生活費として持ち出したプライベート用のお金の方が多いので元入金はマイナスになりました。

帳簿上、元入金はマイナスでもかまいませんが、決算を迎えるごとに元入金が少しずつ増えてくる方が健全な経営と言えるでしょう。

基本的には、この振替作業は、会計ソフトを使用している場合は、自動的にやってくれるものがほとんどです。

※国税庁「貸借対照表作成の手引き」の記載について

国税庁の発行している「貸借対照表作成の手引き26.11」の元入金のページには「期末(12月31日)の元入金の金額は、期首(1月1日)の元入金と同額です。」という記載があります。これは、前期末と翌期首が同額、という意味ではなく、今期末と今期首が同額という意味です。混乱しやすいので間違えないようにしてください。

 

参考:個人事業主の確定申告ガイド|フロー図を用いてわかりやすく解説

【ご参考】個人事業主に関係ある勘定科目一覧

 

最後に

いかがでしたでしょうか。
事業主借は法人会計には存在しない、個人事業主独特の勘定科目です。

反対の意味の勘定科目である事業主借については、「これで完ぺき!わかり易い【事業主貸】のポイント7つ」をご覧ください。

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