確定申告とは、1月1日~12月31日までに得た収入や支出、医療費や寄付金、扶養などを計算して、1年間の「所得」を確定し、確定した所得から計算された税金を、翌年3月15日までに税務署に申告・納税することを言います。
ここでは2020年の確定申告の時期や、やり方について詳しく解説しています。
※2020年の確定申告は4月16日(木)まで延長されました。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
0.まるわかり確定申告のやり方フロー図
1.2020年の確定申告の時期は2月16日から3月15日
2.初めての確定申告のやり方と手順
2-1.確定申告のやり方は3種類
2-2.提出場所はお住いの最寄りの税務署
2-3.必要書類を集める
2-4.確定申告書の記入用紙の入手
2-5.申告書に記入する
2-6.最寄りの税務署に提出する
3.個人事業主・フリーランスの確定申告のやり方
4.副業の確定申告のやり方
5.医療費控除の確定申告のやり方
6.ふるさと納税(寄付金控除)の確定申告のやり方
7.住宅ローン控除の確定申告のやり方
0.まるわかり確定申告のやり方フロー図
まずは確定申告のやり方について、全体像をざっくり把握してみましょう。
以下から詳しくご説明します。
1.2020年の確定申告の時期は2月16日から3月15日
確定申告とは、1月1日~12月31日までに得た収入や支出、医療費や寄付金、扶養などを計算して、1年間の「所得」を確定し、確定した所得から計算された税金を、翌年3月15日までに税務署に申告・納税することを言います。
3月15日を過ぎると、期限後申告(きげんごしんこく)になります。
期限後申告になると、延滞税(えんたいぜい)がかかります。
さらに無申告加算税(むしんこくかさんぜい)もかかります。(ただし申告期限から1月以内に自主的に行われる等、条件を満たす場合にはかかりません)。
さらに、65万円分の「青色申告特別控除」適用は3月15日までに申告する必要があります。
納めた税金が戻ってくる還付申告(かんぷしんこく)については、2月15日以前でも行えます。
確定申告の必要がない方の還付申告は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます。
2.初めての確定申告のやり方と手順
初めての確定申告のやり方と手順についてご説明します。
2-1.確定申告のやり方は3種類
確定申告のやり方には3種類あります。
2-1-1. 直接、最寄りの税務署に持参する
確定申告の提出は、自分の居住地を管轄する税務署になりますので、そこに直接持参する方法です。
税務署が開いているのは基本的には平日のみですが、一部の税務署では2月から3月にかけて日曜日にも確定申告を受付けています。
また、確定申告の時期には市区町村役場でも受付を行っています。
自分の居住地を管轄する税務署は、国税庁HPの「国税局・税務署を調べる」で検索することができます。
初めての確定申告の場合は、直接聞きながら行うのも良いでしょう。
2-1-2. 最寄りの税務署に郵送する
最寄りの税務署に郵送することでも提出は可能です。
申告書の控えに受付印の押印を希望する場合には、自分の名前・住所を書き、必要な金額の切手を貼付した返信用封筒を同封して郵送します。
もし不備があった場合には、確定申告書類に記載した電話番号あてに税務署から電話がかかってきます。
家にパソコンとプリンタがあれば、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で「書面提出」を選んで申告書に数字を入力、作成し、プリントアウトして送るのがスムーズです。
郵送方法は、切手を貼った普通郵便で大丈夫です。
ただ「信書」でないといけないため、ゆうパックやゆうメール、宅急便は使えません。
レターパックは信書が送れますので大丈夫です。
郵送期日は3月15日(土日の場合は翌週月曜日)の日付の消印有効です。
2-1-3. インターネット(e-Tax)で電子申告する
e-Tax(イータックス)は確定申告書を電子データで送信する申告方法です。
手続きをするには、市区町村にてマイナンバーカードの取得や、ICカードリーダライタが必要です。
今年からスマホによる電子申告も可能となりましたが、その場合もマイナンバーカード(とマイナンバーカード対応のスマホ)、もしくはID・パスワード方式の届出完了通知(あらかじめ税務署に届出あり)の用意が必要です。
利用料金はかかりませんが、どちらもあらかじめ利用開始の手続きをしておく必要があります。
これから毎年、確定申告をする場合には良いですが、一回限りの場合は直接行くか、郵送の方が良いでしょう。
2-2.提出場所はお住いの最寄りの税務署
確定申告の提出場所は、自分の居住地を管轄する税務署になります。
自分の居住地を管轄する税務署は、国税庁HPの「国税局・税務署を調べる」で検索することができます。
2-3.必要書類を集める
確定申告をするには数字を記入するのに必要な書類を集める必要があります。
どのような目的で確定申告するのかによって必要書類が変わります。
以下に状況別の必要書類をあげておきます。
2-3-1.確定申告書A
確定申告書Aは、サラリーマン、年金生活者、パート・アルバイトなどが使用します。
ただし確定申告書Aを使える要件に当てはまっている場合のみです。
確定申告書Aは、サラリーマンや年金生活者など、普段あまり確定申告をしない人のために、必要項目だけを取り出してカンタンに申告ができるようにした用紙です。
通常、サラリーマンには「年末調整」といって会社で税金の計算をしてくれるシステムがありますが、年末調整ではもともと行えない申告や、うっかり提出を忘れた場合に、確定申告書Aを使って申告をします。
国税庁サイトからダウンロードします。
確定申告書Aを使う11の事例は以下の通りです。
【確定申告書Aを使う11の事例】
1.医療費控除
2.ふるさと納税(寄付金控除)
3.住宅ローン控除(初年度)
4.雑損控除
5.特定支出控除
6.年末調整で控除できるものをしなかった
7.年度の途中で退社し、そのままどこにも就職しなかった
8.2箇所から給与をもらっている
9.生命保険の満期金(一時所得)
10.株の配当金を受け取った(配当所得)<
11.アフィリエイト・オークション収入・原稿料など(雑所得)
(参考)これで完ぺき!わかりやすい【確定申告書A】10のポイント
2-3-2.確定申告書B
確定申告書Bは、基本的には個人事業主やフリーランス、その他Aでは申告ができない人が使用する申告書です。
確定申告書Bは、すべての場面で使うことのできるオールマイティな申告書用紙です。
「項目が多くても気にならない」「ごちゃごちゃ考えてしまって迷う」のならば、確定申告書Aの該当者であっても確定申告書Bを使って申告を行うことをオススメします。
国税庁サイトからダウンロードします。
【確定申告書Bを使う6の事例】
1.事業による収入を得ている場合(事業所得)
2.アパートや駐車場など賃貸収入を得ている場合(不動産所得)
3.株の売買で利益や損失を出した場合(譲渡所得)
4.不動産を売却した場合(譲渡所得)
5.自分の所有する山を伐採、譲渡(山林所得)
6.退職金を受け取った時(退職所得)
(参考)これで完ぺき!わかりやすい【確定申告書B】9のポイント
2-3-3.マイナンバー
マイナンバーとは、簡単に言うと特定の個人を識別するための12桁の「個人番号」のことです。
確定申告時にはマイナンバーを記入する欄があります。
番号の記載とともに、本人確認書類等も必要になります。
マイナンバー提出時の本人確認書類
(1)(2)(3)のうち、ひとつを提出
(1)マイナンバーカード(通知カードではありません)。1点のみ
(2)マイナンバー確認資料※1(1点)+ 写真付本人確認資料※2(1点)の合計2点
(3)マイナンバー確認資料※1(1点)+ 公的機関の発行書類※3(2点)の合計3点
※1…通知カード、住民票(マイナンバー記載のもの)
※2…運転免許証、住基カード、パスポート、在留カード、特別永住証明書、その他公的機関の写真付証明書
※3…健康保険証、年金手帳、住所、氏名、生年月日の記載書類(公的機関発行のもの)
2-3-4.個人事業主・フリーランスの必要書類
・青色申告決算書(4ページ)…青色申告の場合。国税庁サイトよりダウンロード
・収支内訳書の一般用(2ページ)…白色申告の場合。国税庁サイトよりダウンロード
(以下、該当する場合のみ)
・生命保険・地震保険料控除証明書…10~11月頃保険会社より送付されます
・国民健康保険控除証明書…1月頃、自治体によっては郵送するところもあります。国民健康保険料については、その年に支払った額を記入するだけでも大丈夫です。
・国民年金保険料控除証明書…11月頃に郵送されます
・小規模企業共済等掛金控除証明書…11月頃郵送されます
・住宅ローン控除(2年目以降)…住宅借入金等特別控除額の計算明細書、金融機関からの借入金の年末残高等証明書
・住宅ローン控除(初年度)…1-1参照
・寄付金控除(ふるさと納税をした場合など)…1-2参照
・医療費控除…1-3参照
・雑損控除…1-4参照
・配偶者控除…確定申告書に記入
・扶養控除…確定申告書に記入
・寡婦(夫)控除…確定申告書に記入
・障害者控除…確定申告書に記入
2-3-5.副業の確定申告の必要書類
・源泉徴収票、報酬支払調書など…勤務先から発行してもらいます
2-3-6.医療費控除の確定申告の必要書類
・医療費や治療費の領収書…病院に行った時の医療費や、薬局で買った風邪薬などの領収書等を集めます。
・医療費控除の明細書+医療費のお知らせ…医療費控除の明細書は国税庁HPよりダウンロードします。「医療費のお知らせ」の原本を添付する場合は、領収証の提出が不要となります(ただし医療費のお知らせには要件があるので注意が必要です)
・セルフメディケーション税制の明細書+健康診断の結果など一定の取組を行ったことを明らかにする書類…セルフメディケーション税制を適用する場合には必要となります。
2-3-7.ふるさと納税の確定申告の必要書類
寄附金受領証明書…ふるさと納税をした団体が2~3月に発行し、送られてきます。
2-3-8.住宅ローン控除の確定申告の必要書類
・金融機関等からの借入金残高証明書…住宅ローンの初年度は、翌年1月下旬から金融機関から発送されます。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書…税務署や国税庁サイトから入手します
・建物・土地の登記事項証明書…法務局から入手します
・建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)のコピー…不動産会社と契約した書類をコピーします。
2-4.確定申告書の記入用紙の入手
初めて確定申告する場合には、税務署、もしくは市区町村役場にて確定申告の用紙を入手します。
会社員・年金受給者は確定申告A、個人事業主は確定申告Bの用紙です。
2年目以降は、希望すればの申告書の「次年度に郵送を希望する・しない」を選択する欄で郵送を選択できます。
家にパソコンとプリンタがあれば、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で「書面提出」を選択して出力することもできます。
こちらは、入力して自動計算してくれますのでオススメです。
ただ、パソコンの動作環境がありますので確認してください。
2-5.申告書に記入する
必要書類を集め、用紙を入手したら、申告書に記入をします。
初めてでよくわからない場合には、税務署や市区町村役場に行って直接教えてもらいながらやりましょう。
税務署や市区町村に教えてもらうのは無料です。
ただ、この時期は非常に混んでいるので時間に余裕を持って行く必要があります。
税理士に申告書の記入と提出をお願いすることもできますが、その場合は3~5万円程度かかります。
国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の説明に従って入力していき、わからないところは画面上で「?」アイコンをクリックすれば、説明書きが出てきます。
毎年同じ確定申告になる予定の方は、最初は税務署で聞きながらやり、次年度からはパソコンでやってみても良いでしょう。
2-6.最寄りの税務署に提出する
記入が終わると最後に税務署に提出をします。
税務署に直接行った方は記入したらそのまま提出して窓口で「控え」に受付日の入った受付印を押して返してくれます。
郵送の場合は、確定申告書の控えに受付印の押印を希望する時には、自分の名前・住所を書き、必要な金額の切手を貼付した返信用封筒を同封して郵送します。
e-Taxの場合は、そのままネットで送信します。
e-Taxには料金はかかりませんが、あらかじめ利用開始の手続きをしておく必要があります。
3.個人事業主・フリーランスの確定申告のやり方
個人事業主・フリーランスの確定申告のやり方のポイントは以下の通りです。
- 所得が38万円を越えたら確定申告が必要
- サラリーマンからフリーランスになった場合は、会社員時代の給与(給与所得=源泉徴収票)とフリーランス収入(事業所得)の両方を合算して確定申告をする
- 「報酬支払調書」をもらった場合、確定申告をすることで還付を受けられる(税金が返ってくる)場合がある
- 事業所得の場合は「帳簿」の作成が必要
- 青色申告と白色申告がある
個人事業主・フリーランスの確定申告のやり方について、詳しくは「個人事業主の確定申告ガイド|フロー図を用いてわかりやすく解説」をご覧ください。
4.副業の確定申告のやり方
副業の確定申告のやり方のポイントは以下の通りです。
- 副業で確定申告が必要な人は、「副業所得の合計」が20万円を超える場合
- 副業が会社にバレないようにするには、確定申告が不要でも「住民税の申告」をし、さらに「自分で納付」にチェックを入れる
- 副業が会社にバレてしまう可能性があるのは“給与収入が合算されてしまう時”
- マイナンバーと副業がバレることは関係ない
- 副業の種類
・クラウドソーシング等(事業所得)
・アルバイト(給与所得)
・キャバクラ(ホステス報酬)
・金融系・株・FX(譲渡所得)
・ネット系(アフィリエイト・オークション・原稿料など)(雑所得)
・不動産投資(不動産所得)
副業が会社にバレてしまう可能性があるのは、給与収入が合算されてしまう時。
副業の確定申告のやり方について、詳しくは「副業の確定申告ガイド|20万円超から始める手順やバレないやり方」をご覧ください。
5.医療費控除の確定申告のやり方
医療費控除の確定申告のやり方のポイントは以下の通りです。
- 自分だけでなく、生計を一にする家族の分の支払いも該当
- 病気やケガのための入院だけでなく、薬局で買った風邪薬などの医療費も対象
- (医療費控除)自分と家族を合わせた医療費の合計から、保険等で補てんされた金額を引いたものが「10万円」を超えた場合に、その越えた部分の金額が控除の計算対象
- (医療費控除)ただしその年の総所得金額が200万円未満の人は、10万円ではなく、総所得の5%を越えた部分の金額が控除の計算対象
- 「セルフメディケーション税制」と、通常の「医療費控除」は両方は使えない。どちらか一方のみ。
- 添付書類は「医療費控除の明細書+医療費のお知らせ」もしくは「セルフメディケーション税制の明細書+健康診断の結果など一定の取組を行ったことを明らかにする書類」。領収書の添付は不要となりました。(ただし5年間の保存は必要)
医療費控除の確定申告のやり方について、詳しくは「【2020年確定申告】医療費控除|自分で出来る!完全攻略」をご覧ください。
6.ふるさと納税(寄付金控除)の確定申告のやり方
ふるさと納税(寄付金控除)の確定申告のやり方のポイントは以下の通りです。
- ふるさと納税は寄付金控除のひとつ
- 寄付金控除は2000円以上の寄付金額から
- 必要書類は寄付した団体から交付された寄付金の受領証
ふるさと納税(寄付金控除)の確定申告のやり方について、詳しくは「【2020年確定申告】寄付金控除の完全攻略ポイント5つ」をご覧ください。
7.住宅ローン控除の確定申告のやり方
住宅ローン控除の確定申告のやり方のポイントは以下の通りです。
- 確定申告が必要なのは住宅ローン控除1年目
- 2年目からは会社で年末調整で提出できる
- 住宅ローン控除の必要書類
・確定申告A、もしくはB
・金融機関等からの借入金残高証明書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・建物・土地の登記事項証明書
・建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)のコピー
・源泉徴収票(サラリーマンの場合)
・その他、必要な場合のみの書類
住宅ローン控除の確定申告のやり方について、詳しくは「【2020年確定申告】住宅ローン控除の必要書類の集めかた画像つき」「自分で出来る住宅ローン控除の確定申告ー記入7ステップ」をご覧ください。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ここでは確定申告のやり方についておおまかなイメージをつかんでいただくためにご紹介いたしました。
リンクページに詳しく記載していますので、ぜひ参照してください。