通勤費を社長・従業員・個人事業主からみた税金のポイント

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通勤費

あなたは今、通勤費についてお調べしていることと思います。

通勤費とは、会社に通勤するために給与と一緒に支払われている通勤手当のことを意味します。

通勤費にはその取り扱いによって税金が変わってしまうため注意が必要です。

ここでは通勤費についてご説明しているので、ぜひ参考にしてください。

もくじ

0. 通勤費にまつわる税金のポイント3つ
1. 社長の押さえておきたい通勤費のポイント
1-1. 通勤費は限度額まで「非課税通勤費」としてOK
1-2. 通勤費(通勤手当)は定額で支給することも可能
1-3. 社会保険料・労働保険料の計算には課税・非課税かかわらず通勤費を含める
1-4. 通勤費は課税・非課税かかわらず全額損金算入
1-5. 通勤費の「非課税」という言葉に惑わされてはいけない
2. 従業員の押さえておきたい通勤費のポイント
2-1. 通勤費が「非課税通勤費」になると所得が少なくなる
2-2. 社会保険料・雇用保険料の計算には課税・非課税かかわらず通勤費を含める
3. 個人事業主の場合の通勤費の取り扱いのポイント
3-1. 個人事業主の通勤費は経費になる
3-2. 個人事業主の通勤費は実費以外は支給できない

0. 通勤費にまつわる税金のポイント3つ

通勤費にまつわる税金について押さえたいポイントは以下の3つです。

通勤費にまつわる税金

  • 所得税
  • 社会保険・労働保険
  • 会社の損金

通勤費は、この上記3つの計算上の取り扱い方法が全く異なるので注意が必要です。

この上記3つのポイントを社長、従業員、個人事業主の立場別にお話します。

あなたが社長の場合は1から、従業員の場合は2から、個人事業主の場合は3からお読みください。

 

1. 社長の押さえておきたい通勤費のポイント

社長の押さえておきたい通勤費のポイントは上記にあげたように、所得税、社会保険・労働保険、会社の損金(税金を減らす)と3つあります。
順にご説明します。

1-1. 通勤費は限度額まで「非課税通勤費」としてOK

通勤費は給与計算において限度額までは「非課税交通費」として処理します。

非課税とは簡単にいうと、課税しないお金、つまり給与計算時に給与に含めないお金ということです。

会社は毎月給与から源泉徴収(給与天引き)しますが、非課税通勤費を誤って課税通勤費にしてしまうと所得が増えて所得税などの金額が変わってしまうので注意が必要です。

社長や役員、扶養内のパートやアルバイトであっても、毎日通勤に使う交通費については非課税通勤費として給与計算します。

ただし、非課税通勤費には限度額があるため、それを超えた場合は、超えた金額について「課税通勤費」として給与に含める必要があります。

非課税交通費の限度額

  • 電車・バスを利用…月額150,000円まで
  • マイカー・自転車で片道55キロ以上…月額31,600円
  • マイカー・自転車で片道45キロ以上55キロ未満…月額28,000円
  • マイカー・自転車で片道35キロ以上45キロ未満…月額24,400円
  • マイカー・自転車で片道25キロ以上35キロ未満…月額18,700円
  • マイカー・自転車で片道15キロ以上25キロ未満…月額12,900円
  • マイカー・自転車で片道10キロ以上15キロ未満…月額7,100円
  • マイカー・自転車で片道2キロ以上10キロ未満…月額4,200円
  • マイカー・自転車で片道2キロ未満…全額課税

1-2. 通勤費(通勤手当)は定額で支給することも可能

通勤費(通勤手当)は、定額で支給することも可能です。

通勤費を支給する場合、通常は実費支給であったり、定期券代を支給する場合が多いかと思いますが、手当として定額を支給することもできます。

手当とは、給与において基本給のほかに諸費用として従業員に支払われる賃金のことです。

例えば、扶養手当や住宅手当、資格手当などと同じで、支給の有無や、支給額は会社ごとに設定することができます。

1-3. 社会保険料・労働保険料の計算には課税・非課税かかわらず通勤費を含める

社会保険料(健康保険・厚生年金)および労働保険料(雇用保険・労災保険)の計算には通勤費も含まれます。

これは通勤費の課税・非課税に関係なく通勤費総額が対象です。

非課税、というとすべての計算対象から外してしまいがちですが、非課税の意味はあくまで所得税が課税されない、という意味です。

通勤費が含まれる社会保険料・労働保険料には、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金がありますが、それぞれ計算方法が違います。

・雇用保険

計算式は、賃金(通勤費含む総支給額)×保険料率です。
給与を支払う都度、通勤手当を含めて計算をします。

料率は、平成27年度は一般事業者の場合、従業員負担が5/1000、会社負担が8.5/1000です。
料率は都度かわるので、厚生労働省のサイトなどで確認してください。

・労災保険

計算式は、賃金(通勤費含む総支給額)×保険料率です。
給与を支払う都度、通勤手当を含めて計算をします。

労災保険料率は、事業の種別により労災の危険性が異なるため、最高1,000分の89から最低1,000分の2.5まで料率が細かく分かれています。料率は都度かわるので、厚生労働省のサイトなどで確認してください。

・健康保険・厚生年金

健康保険・厚生年金の計算のベースとなる給料の金額を「標準報酬月額」といいます。
毎年4~6月の報酬(基本給、通勤費、各種手当など)の平均を、国の定める標準報酬月額表に当てはめて標準報酬月額を決めます。

この標準報酬月額に保険料率を掛けた金額が給料から天引きされます。
年の途中で、3カ月の給料の平均が大幅に変動した場合など、随時改定を行います。

標準報酬月額が改定されるので、全国健康保険協会などのサイトで確認してください。

1-4. 通勤費は課税・非課税かかわらず全額損金算入

社員に支払った通勤費は課税・非課税かかわらず全額損金算入(税金を減らす)ことができます。

上記1-2のように非課税というと会計上でも税金から除外しなければいけないと思いがちですが、全額損金に算入できます。

会社の会計上の勘定科目は「旅費交通費」になります。

これは社長や役員、扶養のパートやアルバイトであっても、通勤に使う交通費については 通勤費として損金算入できます。

1-5. 通勤費の「非課税」という言葉に惑わされてはいけない

上記1~3までをみていただければ分かるとおり、通勤費は所得税、社会保険、会社の損金とそれぞれに取り扱い方法が違います。

特に「非課税交通費」という言葉がややこしくしているのではないでしょうか。

通勤費を支出する側の会社の会計処理と、通勤費をもらう側の役員、従業員の所得税、社会保険料等の処理に分けて考えるとわかりやすいでしょう。

「会社の会計処理」は“税務会計”の話です。

いっぽう、「所得税、社会保険料等」は“給与計算”の話です。

会計ソフトや給与計算ソフトを利用している場合は、そのあたりは比較的自動で計算してくれますが、やはり正確な判断は税理士や社労士にお願いするのがベストだと思います。

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2. 従業員の押さえておきたい通勤費のポイント

従業員が押さえておきたい通勤費のポイントは給与にかかわる「所得税」と「社会保険料」の2点です。

2-1. 通勤費が「非課税通勤費」になると所得が少なくなる

通勤費は受け取る給与の中でも限度額までは「非課税交通費」として処理されます。

非課税とは簡単にいうと、課税しないお金、つまり給与計算時の所得計算に含めないお金ということです。

会社は毎月あなたの給与から源泉徴収(給与天引き)しますが、非課税通勤費をもし誤って課税通勤費にしてしまうと、給与が増えて所得税などが多くなってしまうので給与明細を注意してみておく必要があります。

これは、正社員だけでなく扶養のパートやアルバイトであっても、毎日通勤に使う交通費については非課税通勤費として給与計算します。

ただし、非課税通勤費には限度額があるため、それを超えた場合は「課税通勤費」として給与の計算に含める必要があります。

非課税交通費の限度額

  • 電車・バスを利用…月額150,000円まで
  • マイカー・自転車で片道55キロ以上…月額31,600円
  • マイカー・自転車で片道45キロ以上55キロ未満…月額28,000円
  • マイカー・自転車で片道35キロ以上45キロ未満…月額24,400円
  • マイカー・自転車で片道25キロ以上35キロ未満…月額18,700円
  • マイカー・自転車で片道15キロ以上25キロ未満…月額12,900円
  • マイカー・自転車で片道10キロ以上15キロ未満…月額7,100円
  • マイカー・自転車で片道2キロ以上10キロ未満…月額4,200円
  • マイカー・自転車で片道2キロ未満…全額課税

2-2. 社会保険料・雇用保険料の計算には課税・非課税かかわらず通勤費を含める

上記2-1の計算には非課税通勤費は含めませんでしたが、社会保険料(健康保険・厚生年金)・雇用保険料の計算には通勤費も含めて計算します。

これは通勤費の課税・非課税に関係なく通勤費総額が対象です。

非課税、というとすべての計算対象から外してしまいがちですが、非課税の意味はあくまで所得税の計算対象から外れる、という意味です。

通勤費が含まれる社会保険料には、雇用保険、健康保険、厚生年金がありますが、それぞれ計算方法が違います。

・雇用保険

計算式は、賃金(通勤費含む総支給額)×保険料率です。
給与を支払う都度、通勤手当を含めて計算をします。

料率は、平成27年度は一般事業者の場合、従業員負担が5/1000、会社負担が8.5/1000です。
料率は都度かわるので、厚生労働省のサイトなどで確認してください。

・健康保険・厚生年金

健康保険・厚生年金の計算のベースとなる給料の金額を「標準報酬月額」といいます。
毎年4~6月の報酬(基本給、通勤費、各種手当など)の平均を、国の定める標準報酬月額表に当てはめて標準報酬月額を決めます。

この標準報酬月額に保険料率を掛けた金額が給料から天引きされます。
年の途中で、3カ月の給料の平均が大幅に変動した場合など、随時改定を行います。

標準報酬月額が改定されるので、全国健康保険協会などのサイトで確認してください。

 

3. 個人事業主の場合の通勤費の取り扱いのポイント

3-1. 個人事業主の通勤費は経費になる

個人事業主の通勤費も経費に計上することができます。

例えば、自宅から事務所までが離れていて、マイカー通勤していたり、電車通勤している場合は「旅費交通費」として経費計上することができます。

マイカー通勤している場合のガソリン代は、私用分と事業使用分とを按分(あんぶん)して経費に計上します。

3-2. 個人事業主の通勤費は実費以外は支給できない

個人事業主の通勤費は、経費に計上することはできますが、実費以外の通勤費を支給することはできません。

最後に

いかがでしたでしょうか。
通勤費は、その取り扱いによって税金が変わってしまうため注意が必要です。

また、その社長や従業員、個人事業主など立場によっても違います。
間違えないように注意してください。

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