年末調整と確定申告の違いと両方対象者のための4つのケース

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年末調整 確定申告

年末調整を会社で行っている人は、原則は確定申告が不要です。
しかし、そもそも会社で年末調整の対象とならないものや、提出し忘れたものなど、年末調整をしていても確定申告が必要なケースもあります。

ここでは、そういった会社員でも確定申告が必要なパターンなどをお話しいたします。
ぜひ参考にしてください。

※副業などで確定申告がある方は「会社バレを防ぐ!副業しているサラリーマンが注意したい確定申告の方法」もご覧ください。

もくじ

0. 年末調整と確定申告の違い
1. そもそも年末調整の対象とならないケース
1-1. 医療費控除
1-2. 初年度の住宅ローン控除
1-3. 寄附金控除(ふるさと納税含む)
1-4. 雑損控除
1-5. 特定支出控除
2. 年末調整で控除できるものをしなかったケース
3. 年末調整していても確定申告の義務があるケース
3-1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
3-2. 本業以外に副業をしていて2箇所給与を受けている人
参考. 確定申告の手順

 

0. 年末調整と確定申告の違い

年調と確申

年末調整と確定申告の違いは以下の通りです。

年末調整と確定申告の違い

  • 年末調整…会社があなたの一年間の「給与所得」を確定し、おおまかに天引きしていた税金を年末に計算し直して還付・または徴収すること
  • 確定申告…さまざまな種類の所得について、自分で申告・納税すること

年末調整とは、会社から支給されるお給料(給与所得)の所得税額を計算する手続です。
毎月の給与支払い時にはおおまかな税額を天引きしていますので、年末に一年間の給与が確定するタイミングで、生命保険料控除や住宅ローン控除などを入れて再度税額を計算し直し、追加徴収なり還付なりの調整を行います。
年末調整は1ヶ所からの給与についての所得税額を計算する手続ですので、1ヶ所しか給与所得がない人は、年末調整だけで所得税額が確定しますので確定申告の必要がありません。

確定申告は10種類ある全ての所得(給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得など)に関する所得税額を計算する手続です。
確定申告は一年間の所得を翌年3月15日までに自分で計算し、申告・納税する必要があります。

通常、会社員は年末調整していれば確定申告の必要はありませんが、以下の場合は年末調整していても確定申告の必要があります。

年末調整していても確定申告の必要なケース3つ

  • そもそも年末調整の対象とならないケース
  • 年末調整で控除できるものをしなかったケース
  • 年末調整していても確定申告の義務があるケース

以下から、この3つのケースについてご説明します。

 

1. そもそも年末調整の対象とならないケース

年末調整では控除できない、つまり所得から引けるものがあるのに会社では手続きできないものがあります。
これらは、確定申告をすることによって還付(税金が返ってくる)場合があります。

そもそも年調の対象とならないケース

  • 医療費控除
  • 初年度の住宅ローン控除
  • 寄付金控除(ふるさと納税含む)
  • 雑損控除
  • 特定支出控除

5つの控除は、年末調整では手続きできないため、還付をうけたい場合は自分で確定申告をする必要があります。

1-1. 医療費控除

医療費控除とは、自分や家族が病気や怪我のために病院にかかった治療費や、薬局で買った風邪薬などの医療費などを、所得から控除できるものです。
自分と家族を合わせた医療費の合計が「10万円」を超えた部分が控除の計算対象になります。
ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%以上で医療費控除が受けられます。
つまり総所得が100万円の人は、5万円を越えた部分が医療費で控除の対象になります。

1-2. 初年度の住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、年末調整で差し引かれた源泉所得税のうち、平成27年で言えば、年末のローン残高の1%を限度として、税金が戻ってくるものです。
初年度の住宅ローン控除を受けたい場合は年末調整では手続きできないため、確定申告が必要になります。
一度、確定申告を行えば、2回目以降は年末調整で控除を受けられるようになります。

1-3. 寄附金控除(ふるさと納税含む)

寄附金控除とは、ある特定の団体(赤十字や市区町村など)に寄附をした時、寄附金額から2000円を引いた金額を所得税や住民税から控除できるというものです。
ふるさと納税もこの寄附金控除にあたります。
ふるさと納税は、以前は必ず確定申告が必要でしたが、ある一定の条件を満たせば、会社員は確定申告が不要となりました。
詳しくは「今さら聞けない「ふるさと納税」の仕組みと8つのポイント」をご覧ください。

1-4. 雑損控除

雑損控除とは、災害や盗難・横領などによって損害を受けた場合に、所得から控除できるものです。
雑損控除は、自然災害のような予期せぬ被害が対象となり、盗難の場合には、盗難されたものが生活上必要な場合のみ対象となります。
また、振り込め詐欺のような、詐欺や恐喝は対象となりません。

1-5. 特定支出控除

特定支出控除とは、仕事にかかわる支払いが多い場合に控除できるものです。

特定支出控除

  • 仕事に関する図書の購入費用
  • 仕事に関する衣類の購入費用(スーツ・制服など)
  • 仕事に関する交際費用(接待費、お中元、お歳暮など)
  • 個人で負担している通勤交通費
  • 転勤に伴う引っ越し費用(自費分)
  • 単身赴任者の帰宅にかかる費用(自費分)
  • 研修費用(自費分)
  • 資格費用(対象あり)

上記の支出で、要件を満たせば還付申告をすることができます。
例えば年収500万円の場合、77万円以上の支出があった場合(年収500万円の給与所得控除額154万円分の2分の1)に利用できます。
つまり、500万円の年収の場合、スーツとお中元、お歳暮の費用で30万円の支出の場合は還付申告はできません。

 

2. 年末調整で控除できるものをしなかったケース

年末調整で控除できるものをうっかりしなかった場合も、確定申告をして還付を受けることができますので、ぜひ確定申告をしましょう。
以下の場合です。

年調で控除できるものをしなかったケース

  • 生命保険・地震保険・小規模企業共済掛金控除を提出しなかった
  • 自分で払っている社会保険料控除(国民年金・国民健康保険)を提出しなかった
  • 住宅ローン控除(2年目以降)を提出しなかった
  • 扶養家族が増えたのに会社に言ってなかった
  • 結婚したのに会社に言ってなかった(配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる範囲内の場合)

以上のような場合は、もう会社では年末調整はしてもらえませんので、自分で確定申告をして還付をうけます。

 

3. 年度の途中で退社し、そのままどこにも就職しなかったケース

年度の途中で退社し、そのままどこにも就職しなかった場合は、確定申告で還付を受けられることがありますのでぜひ確定申告をしましょう。
会社員は、所得税を毎月の給料やボーナス等から源泉徴収(給与天引き)されます。
この源泉徴収はおおよその計算で行うことから、給与天引きされた金額は、必ずしもその人が納めるべき金額と一致しない場合があります。
そこで、確定申告によってこの過不足額を精算します。
年度途中で退職した同じ年に再就職をした場合は、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をすることになっていますから、確定申告は不要です。

 

4. 年末調整していても確定申告の義務があるケース

会社で年末調整をしていても、確定申告が必要になるケースがあります。
以下のような時です。

4-1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

年収が2000万円を超える人は所得税法の規定により年末調整はしてもらえません。
会社からもらう源泉徴収票をもとに確定申告をする必要があります。

4-2. 本業以外に副業をしていて2箇所給与を受けている人

本業以外にアルバイトなど副業をしていて2箇所から給与を受けている場合は、確定申告が必要です。
同じ給与所得である場合には、本業である会社は「主たる給与」、副業は「従たる給与」と言います。
主たる給与は、会社で年末調整をしてくれるので確定申告は不要です。しかし、副業でアルバイトをしている場合などは、従たる給与は会社では年末調整ができないため、確定申告が必要になります。
副業がアルバイト、キャバクラ(ホステス)、FX、ネット系(アフィリエイト・オークション・原稿料)、不動産投資など、それぞれに所得の種類が違いますので、詳しくは「会社バレを防ぐ!副業しているサラリーマンが注意したい確定申告の方法」をご覧ください。

参考. 確定申告の手順

還付申告の提出先は、自分の居住地を管轄する税務署になります。

還付申告の方法には3種類あります。
・直接持参する
・郵送する
・ネット(e-tax)で申告する

また、確定申告の手順は以下の通りです。
1. 必要書類を集める
2. 記入用紙の入手
3. 申告書に記入する
4. 最寄りの税務署へ提出する

記入方法がよくわからない時は、必要書類を持って直接税務署に行って、聞きながら手続きしても良いでしょう。
確定申告の還付の相談は無料で行っています。
自分の居住地を管轄する税務署は、国税庁HPの「国税局・税務署を調べる」で検索することができます。

また、家にパソコンとプリンタがあれば、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で「書面提出」を選んで申告書に数字を入力、作成し、プリントアウトして郵送するのがスムーズです。
郵送方法は、切手を貼った普通郵便で大丈夫です。
ただ「信書」でないといけないため、ゆうパックやゆうメール、宅急便は使えません。
レターパックは信書が送れますので大丈夫です。

ネット(e-tax)は利用開始の届出が必要だったり、住基カードや専用機材が必要なので、一回限りの還付申告であればあまりオススメはしません。

最後に

いかがでしたでしょうか。
会社員はお勤め先で年末調整をしてもらうので確定申告をする機会はほとんどないと思います。
しかし、意外と会社員でも確定申告をすることがあるとお分かりいただけたと思います。
ぜひ参考にしてください。

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