電子帳簿保存法とは、請求書や領収書などの国税書類を、電子データによる保存を認めた法律です。
平成28年の税制改正により、スマホで撮影した領収書なども保存可能となりました。
しかし、単にスマホで撮影しただけでは要件を満たすことはできません。
ここでは、新しくなった電子帳簿保存法についてお話しします。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
2.領収書や請求書の保存方法はスマホやデジカメ撮影した画像でもOK
4.領収書画像には認定事業者が発行する「タイムスタンプ」が必要
5.「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」の提出が必要
1.電子帳簿保存法のポイント
電子帳簿保存法のポイントです。
- 領収書や請求書の保存方法は、スマホやデジカメ撮影した画像でもOK
- スマホやデジカメで撮った書類はすぐに捨ててはいけない
- 領収書画像には、認定事業者が発行する「タイムスタンプ」をが必要
- 電子帳簿保存をするには、あらかじめ「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」の提出が必要
- 電子で保存できる書類と、できない書類がある
2.領収書や請求書の保存方法はスマホやデジカメ撮影した画像でもOK
領収書や請求書の保存方法は、スマホやデジカメ撮影した画像でもOKです。
ただし、ただ撮っただけでは要件を満たすことはできませんので注意が必要です。
以下からご説明します。
3.スマホやデジカメで撮った書類はすぐに捨ててはいけない
スマホやデジカメ撮影が可能になると、手持ちの領収書やレシートを撮影してすぐ捨てたくなりますが、ある一定期間の保存が必要ですので注意が必要です。
具体的には、大企業であれば定期検査を終了するまで、中小企業であれば、税務代理人(税理士など)による検査が終わるまで、となります。
- ロ 定期検査要件について、定期検査を了するまで必要とされている国税関係書類の原本保存を本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものにおいて行うこととする。
- 4 小規模企業者(中小企業基本法に定める小規模企業者をいう。)である場合にあっては、上記3ロの定期検査要件について、税務代理人による検査 とすることにより、上記3イの相互けん制要件を不要とすることができることとする。
つまり、スマホやデジカメで撮った画像の原本は、すぐに捨てることはできず、内容をチェックするまでは保存しておく必要がある、ということです。
4.領収書画像には認定事業者が発行する「タイムスタンプ」が必要
スマホやデジカメで撮った画像には、認定事業者が発行する「タイムスタンプ」が必要となります。
タイムスタンプとは、簡単にいうと「時刻証明」のことで、その時刻以降の偽造を検出する優れた効力をもちます。
紙ベースの書類であれば、原本を見れば、加筆されたり、修正液で訂正されたものを見つけることは簡単ですが、電子データの場合は、比較的容易にデータの改ざんが可能です。
それを防ぐために、認定事業者が発行するタイムスタンプが必要になります。
タイムスタンプの認定事業者とは、「一般財団法人日本データ通信協会」から委託された認定事業者です。
認定を受けたタイムスタンプ事業者には、「タイムビジネス信頼・安心認定証」が交付され、「タイムビジネス信頼・安心認定マーク」を使用できることから、この認定マークによって認定事業者を判断することができます。
タイムスタンプを自社で導入することは、中小企業にとっては費用面において得策ではありません。
タイムスタンプ認定事業者の電子帳簿保存サービスを利用する方が得策です。
5.「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」の提出が必要
電子帳簿保存を利用するには、あらかじめ「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」の提出が必要となります。
具体的には、利用を開始する3ヶ月前に提出し、承認が必要です。
6.電子で保存できる書類と、できない書類がある
スマホやデジカメ撮影による電子データ保存は、できる書類とできない書類があります。
具体的には以下のとおりです。
- 領収書・請求書・契約書
- 預金通帳・小切手・約束手形
- 納品書・注文書・見積書
- 借用証書
- 検収書
- 手書き帳簿…仕訳帳、総勘定元帳など
- 手書き伝票
- 紙の決算関係書類…損益計算書、貸借対照表、棚卸表など、紙に印刷された決算書類をスキャナで読み取り、電子化して保存したもの
電子データ保存が認められる帳簿関係書類は「最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成するもの」となります。
つまり、最初からコンピュータを使用して作成した帳簿や伝票、決算書などはそのまま保存することが可能です。(保存申請は必要です)
しかし、手書きの帳簿や伝票、紙出力した決算書類を再度スキャナ読み込みしたものなどは対象外になります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
電子帳簿保存法はここ数年、改訂が多く、今後もやり方が変わることも予想されます。
今後は、青色申告特別控除の要件にもなりますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。