あなたは今、事業計画書とは何なのかについてお悩みのことでしょう。
事業計画書とは、一言でいえば「経営者に欠かせない事業チェックリスト」といえます。
具体的には、これからはじめる事業の内容についての、実現可能性、採算性、安全性、成長性、そしてその具体的な進め方などを、客観的に、明瞭に、簡潔に、簡単にまとめた書類のことを指します。
事業計画書を作成することで、頭の中で完ぺきだと思っている事業にも、問題点、矛盾点、不明点などが洗い出せるものです。
そして洗い出したいくつかの難点について再度計画を練り直し、事業が進みだしてからはそれを元に予算と実行の管理を行い軌道修正していく、それが事業計画書の役割となります。
事業計画書はこれから事業をはじめるすべての経営者が必ず作成して欲しいものであり、いい会社を作る経営者は必ず作成して予実管理をしています。
ここでは、いい会社を作るために必要な事業計画書とは何なのかについてお話しします。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
はじめに. 事業計画書を作成する一番の理由は「いい会社」の基礎を作るため
0.いい会社を作る経営者が作成している事業計画書のポイント6つ
2.消費者のニーズが把握されていて、一過性でない需要があること
4.技術やアイデアの素晴らしさ「だけ」ではモノは売れないことを理解していること
はじめに. 事業計画書を作成する一番の理由は「いい会社」の基礎を作るため
事業計画書を作成する一番の理由は「いい会社」の基礎を作るためだと私は思っています。
ここでいう「いい会社」とは、必ずしも売上がぐんぐん伸びる急成長の会社ではなく、確実に利益を出し、長く継続できる会社のことを指します。
中小企業がつくる「いい会社」とは、大企業とは全く違うものと私は思います。
なぜなら、大企業は株主のものであり、株主の求めているものは配当を得ることで、そのためには売上を上げることが求められ、高い成長率が必要だからです。
しかし、中小企業には必ずしも高い成長率が必要なわけではなく、むしろ「持続可能な成長率」で「継続的に利益を出し続けること」の方が大事です。
この2つを維持できるかどうかは、事業をはじめる前に作成する「事業計画書」が大切な要因の1つと考えます。
なぜなら事業計画書とは、これからはじめる事業の内容についての実現可能性や採算性、安全性、成長性、その具体的な進め方などについて可視化した、いわば「経営者に欠かせない事業チェックリスト」と言えるからです。
まだ成功するかどうかわからない事業に対して融資をする金融機関が、事業計画書を見て融資の実行を判断する理由がこれでお分かりになったかと思います。
多くの方が融資のために事業計画書を作成しますが、私はこれから事業をはじめるすべての経営者に、私がこれからお話しする事業計画書を作成して欲しいと思っています。
なぜならそれが、持続的で継続可能な“いい中小企業”の基礎となるからです。
作成しない多くの経営者は、そのあいまいなビジネスプランと資金繰り計画によって、数年で倒産・廃業の可能性を高くしてしまうでしょう。
以下から、いい会社を作るための事業計画書についてお話します。
ぜひ参考にしてください。
0.いい会社を作る経営者が作成している事業計画書のポイント6つ
いい会社を作る経営者が作成する事業計画書には6つのポイントがあります。
・きちんとした“根拠のある”売上・費用・利益計画が立てられていること
・消費者のニーズが把握されていて、一過性でない需要があること
・事業として「勝つ仕組み作り」がされていること
・技術やアイデアの素晴らしさ「だけ」ではモノは売れないことを理解していること
・「人に読んで理解していただく」姿勢になっていること
・何が何でも成功させたいという「熱意」が感じられること
また、事業計画書に記載する内容は以下のようなものです。
・会社概要
・経営者の略歴
・事業ビジョン
・製品やサービスの特長とビジネスモデル
・ターゲット市場と市場規模
・顧客・ユーザー特性
・勝ち続けるための独自の優位性
・収支計画書
・利益計画書
・事業リスクとその対応
以下から具体的なポイントについてお話しします。
1. 根拠のある売上・費用・利益計画の作成
事業計画書の作成において最も重要なのは「根拠のある売上・費用・利益計画の作成」といっても過言ではありません。
いかに現実性のある実現可能な計画を立てられるかは、経営者として最も大切な仕事のひとつでもあります。
事業計画書における売上・費用・利益計画とは以下のような資料を指します。
・収支計画書
収支計画書とは、現金の動きを把握するための一覧表のことを指します。
事業における「収入」と「支出」を表にし、実際にどれくらいお金が残るのかをまとめたものです。
収支計画書は「現金ベース」で目標数値を表し、例えば3月に立った売上が5月に入金される場合、収支計画書では5月に計上されます。
金融機関が融資を検討する際に、最も重要視する資料はこの「収支計画書」になります。
なぜなら、実際にお金を返してもらえるかどうかを把握したいためです。
・利益計画書
利益計画とは、将来の目標利益を明確にし、達成するための計画を練ることを言います。
具体的には、目標利益を達成するためには、どれくらいの費用(変動費・固定費)がかかり、そのためにはどれくらいの売上高を確保すればよいのかを検討します。
利益計画書は「発生ベース」で目標数値を表したもので、例えば3月に立った売上が5月に入金される場合、利益計画書では3月に計上されます。
発生ベースで計上すると、実際の現金の動きとは異なる場合がありますが、税金の計算は通常、発生ベースで行われるため、帳簿や決算書のひとつである損益計算書や、利益計算書は発生ベースで計上されます。
収支計画書と利益計画書の詳しい作成方法については、以下の別ページを参照してください。
2.消費者のニーズが把握されていて、一過性でない需要があること
事業計画書作成における2つめのポイントは「消費者のニーズが把握されていて、一過性でない需要があること」です。
多くの経営者にありがちな点として、サービスや商品、技術には自信があっても「消費者ニーズの理解が不十分」という点があげられます。
自社がどういった市場を攻めるのか、どこに自社の競争優位性があるのか、本当に理解し、事業計画書に落とし込んでいる経営者は非常に少ないのが現実です。
消費者ニーズを検証するには、どの消費者がどのようなニーズを持ち、なぜこのサービスや商品を購入してくれるのか、きちんと仮説を立てて整理する必要があります。
まずは消費者ニーズの重要度を「大変困っている・ものすごくほしい消費者」 「困っていないが良いものがあれば欲しい消費者」「困ってはいないが何となく購買する消費者」の3段階に分けてみてシミュレーションしましょう。
今、日本の消費者はサービス・製品に対して「比較・検討しない」「興味・関心がない」、つまり比較検討を放棄する「無関心化」のステージに入ったと言われています。
消費者はデジタル・リアル、オンライン・オフライン問わず多くのチャネルを利用し、様々な購買活動を行っていますが、現在は「情報過多」で「どれを選んでも変わらない」という消費者心理があります。
そういった「無関心化」の進んだ消費者ニーズとは一体何なのか、もう一度よくよく考えてみましょう。
「良いサービス・良い商品は売れるだろう」という楽観的な考えは危険であることがわかるでしょう。
そしてもう1つ大切なのは「一過性でない需要」であることです。
いい会社を作るためには継続的な利益が必要であり、継続的な利益には一過性でない需要が必要です。
一過性でない需要として自社のサービスや商品が選ばれ続けるためには、自社サービスや商品の「替え」がどれくらい世の中にあり、購買されているのか、また替えが特にない場合、年間いくらぐらいなら買ってもいいと思われているのかを検証してみましょう。
3.事業として「勝つ仕組み作り」がされていること
事業計画書作成における3つめのポイントは「事業として勝つ仕組み作りがされていること」です。
現時点でどのくらい競合と比べてリードしているのか、今後もリードし続けられるのか、また競合にマネされたとしても勝ち続けられる仕組み作りを考えましょう。
スタートアップの場合の売上の考え方は「見知らぬ人より見知った人からどれだけ売上があげられるか」つまり空中戦営業ではなく地上戦営業を最優先に考えます。
・地上戦営業…人脈・ネットワークなど、見知った人への営業
・空中戦営業…WEB・チラシなど知らない人への営業
スタートアップ時に社長1人、もしくは小規模で起業する場合は、知らない人をターゲットとする空中戦はリスクが高いと言えます。
なぜなら、空中戦は地上戦に比べてコストが高く、売上見込みが立たないからです。
もちろん地上戦と空中戦を同時進行で進めるのは問題ありませんが、初めから空中戦のみで売上見込みを立てるのは非常に危険と言えます。
成功している経営者は、自分の人脈をとても大切にしていて、まずはそこからの売上に注力しているものです。
まず最初は、より確実に実績を出せる地上戦営業に力を入れていることを事業計画書には盛込みましょう。
4.技術やアイデアの素晴らしさ「だけ」ではモノは売れないことを理解していること
事業計画書作成における4つめのポイントは「技術やアイデアの素晴らしさだけではモノは売れないことを理解していること」です。
具体的には、上記1〜3までにあげたようなことをきちんと理解できているかどうかです。
上記2でお話しした通り、消費者ニーズは「無関心化」のステージに入り、ますますモノを売ることが難しくなってきています。
そういった中で「ホームページを作って広告費をかけたら売れるだろう」「実店舗を構えてチラシをまけば人が来るだろう」と、技術やアイデアの素晴らしさだけに頼ったマーケティングは絶対に危険であり、事業計画書を作成する意味は全くないと言ってよいでしょう。
技術やアイデアだけではモノが売れない時代に大切なのは、消費者ニーズを的確にとらえ、一過性でない需要が見込まれ、まずは地上戦営業で勝つ仕組み作りができるかどうかです。
そのうえではじめて、根拠のある売上・費用・利益計画の作成ができるのです。
また、前職が大企業だった場合にありがちなことは「大企業の名刺」が無くなったとたん、相手の接し方が大きく変わってくることです。
信頼関係を築いていたと思っていた相手の態度が豹変することもよくあることであり、新しい立場でモノを売る戦略を立てなければならないこともあります。
そもそも、アポを取ること自体、簡単ではなくなることもスタートアップには充分にありえます。
技術やアイデアの素晴らしさ「だけ」ではモノは売れないことを理解していることで、より一層、現実的で実現可能な事業計画書に近づけることができるでしょう。
5.「人に読んで理解していただく」姿勢になっていること
事業計画書作成における5つめのポイントは「人に読んで理解していただく姿勢になっていること」です。
これは事業計画書を作成するにあたってのテクニック的な話になります。
金融機関からの融資などを検討している場合には、以下のような点に気をつけて書きましょう。
・客観的で簡素簡潔に、要点を押さえて
・誰が読んでもわかりやすく
・専門用語は出来るだけ避ける(入れる場合は注釈をつける)
・膨大な量にならない。資料もたくさんつけすぎない
・かといって表現が未熟すぎて魅力が伝わらないようではダメ
・その分野に詳しくない人でも「これはすごい」と直感的にわかること
・自己満足的な説明が多いのはダメ
・相手が理解できないのはこちらにすべて問題があると理解すること
自分に置き換えて考えてみましょう。
よっぽどでない限り「ねえ、これ読んでみてよ」と渡された資料を、隅から隅まで真剣に読んでくれる人はいません。
おそらく、要点だけを押さえて、パパっと流し読みする程度です。
でしたら、最初から「要点だけ」にした資料にすることが、一番読んでもらいやすい事業計画書になります。
できれば、自分だけでなく、客観的な意見を取り入れるためにも、家族、友人、そして数字の部分については税理士に見てもらうのが良いでしょう。
6.何が何でも成功させたいという「熱意」が感じられること
事業計画書作成のポイント6つめは「何が何でも成功させたいという熱意が感じられること」です。
これは、事業計画書の作成にかかわらず、この事業が成功するかどうかにおいても非常に重要な点だと私は考えます。
テクニック的なことはあとでいくらでも学ぶことができますが、「この事業を絶対に成功させたい」という強い熱意を持つことができる人は経営者だけです。
サラリーマン時代とは違い、起業し経営者となると、勤務時間だけ仕事をしていればいいわけではありません。
24時間365日、仕事のことを考えない日はない、というくらい、経営者は常に日々の資金繰りのこと、売上のことを考えているものです。
大げさでなく、最初のうちは、寝食を忘れて仕事に没頭するくらいの覚悟がなければ、継続的な利益を出すいい会社を目指すことはできないと考えます。
事業計画書としては、多くの場合、読み手としてあなたの事業を「本当にうまくいくのかな」と大いに疑いを持った状態で見ています。
まずは、自分自身がこの事業に対してワクワクするような、そういう気持ちが表れているかどうかがポイントの1つです。
意外にも多いのが、事業計画書を作成しているにもかかわらず、経営者自身が事業計画の内容を必ずしも信じておらず「絶対実現させる」と思っていない場合です。
これでは事業計画書を作成する意味はありません。
事業計画書の完成度としてだけではなく、何が何でも成功させるという熱意が事業成功のカギのひとつとなります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
事業計画書を作成することで、頭の中で完ぺきだと思っている事業について、問題点、矛盾点、不明点などが洗い出せます。
事業計画書を作成する一番の理由は「いい会社」の基礎を作るためだと私は思っています。
ぜひ、事業計画書を作成して、いい会社をつくりましょう。