年末調整で還付金がもらえる12のパターンとその注意点

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年末調整還付金

あなたは今、今年の年末調整の還付金についてお調べのことと思います。
年末調整とは、サラリーマンに対して、会社が1年間(1月~12月)に給与天引きした所得税について、あらためて再計算し、所得税の過不足を調整することを言います。

多くの場合は、年末調整で還付金(所得税の戻り)がありますが、場合によっては足りない分を差し引かれることもあります。
ここでは、どういった時に年末調整の還付金がもらえるのか、また徴収されるのはどのような時かをご説明します。
ぜひ参考にしてください。

※副業などで確定申告がある方は「会社バレを防ぐ!副業しているサラリーマンが注意したい確定申告の方法」もご覧ください。

もくじ

0. 年末調整で還付金がもらえる12のパターン
1. 生命保険に加入している
2. 地震保険に加入している
3. 支払っている社会保険料がある
4. 小規模企業共済などを支払っている
5. 住宅ローン控除がある(2年目以降)
6. 年の途中で結婚した
7. 年の中途で親を養うことになった
8. 年の途中で扶養親族が増えた
9. 本人が障害者または家族に障害者がいる
10. シングルマザー、シングルファザーになった
11. 仕事をしながら学校に通っている
12. 毎月の給与のわりに賞与が少ない
13. 還付金が少なくなる、または新たに徴収される可能性があるパターン

 

0. 年末調整で還付金がもらえる12のパターン

年末調整で還付金がもらえる12のパターンは以下の通りになります。

年末調整で還付金がもらえる12のパターン

  • 1. 生命保険に加入している
  • 2. 地震保険に加入している
  • 3. 支払っている社会保険料がある
  • 4. 小規模企業共済などを支払っている
  • 5. 住宅ローン控除がある(2年目以降)
  • 6. 年の途中で結婚した
  • 7. 年の中途で親を養うことになった
  • 8. 年の途中で扶養親族が増えた
  • 9. 本人が障害者または家族に障害者がいる
  • 10. シングルマザー、シングルファザーになった
  • 11. 仕事をしながら学校に通っている
  • 12. 毎月の給与のわりに賞与が少なかった

逆に、還付金が少なくなる、または新たに徴収される可能性があるパターンは以下の通りです。

還付金が少なくなる、または新たに徴収される可能性があるパターン

  • 年の途中で扶養控除の対象となっていた子どもが就職して、扶養親族が少なくなった
  • 年の途中で配偶者に年間103万円を大幅に超える所得があって、配偶者控除や配偶者特別控除の適用がなくなった
  • 賞与が毎月の給料額の5倍超~10倍未満の額が支給された
 

1. 生命保険に加入している

生命保険料を支払っている人は「生命保険料控除」の対象となり、年末調整で還付金をもらえる可能性があります。

生命保険料控除とは、今年一年間に支払った生命保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれる制度です。
所得が少なくなると、所得税、住民税が少なくなります。

生命保険料の種類には、以下の3つがあります。

・一般の生命保険料
・介護医療保険料
・個人年金保険料

基本的に、自分の保険は何の保険料だろうと考える必要はありません。
控除証明書に書いてある種類が、その保険の種類になります。

それぞれの保険料に控除できる上限額があり、3つの合計で最高12万円の控除を受けることができます。

 

2. 地震保険に加入している

地震保険料を支払っている人は「地震保険料控除」の対象となり、年末調整で還付金をもらえる可能性があります。

地震保険料控除とは、今年一年間に支払った地震保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれる制度です。

所得が少なくなると、所得税、住民税が少なくなります。

地震保険料の種類には、以下の3つがあります。

・地震保険料
・旧長期損害保険料

基本的には、保険料控除証明書に「地震」や「旧長期」の区分が記載されているので、その通りに年末調整の用紙には記入します。

それぞれの保険料に控除できる上限額があり、2つの合計で最高5万円の控除を受けることができます。

 

3. 支払っている社会保険料がある

自分や家族の社会保険料を支払っている場合には「社会保険料控除」の対象となり、年末調整で還付金を受けられる可能性があります。

社会保険料控除とは、納税者が自分や家族の社会保険料を支払った場合に、その年の所得から控除され、所得税と住民税が軽減される制度です。

年末調整で記入できる社会保険料控除の種類は以下の4種類です。

・自分や家族の国民年金保険料
・自分や家族の国民健康保険料
・国民年金基金の掛金
・後期高齢者医療制度の保険料、介護保険法の規定による介護保険料

会社で天引きされている社会保険料(厚生年金、健康保険)については、会社が把握しているので記入する必要はありません。

また、前職で支払っている社会保険料については、前職で発行される源泉徴収票で確認できるので、今の職場に提出しましょう。

基本的には控除証明書が発行されますが、「国民健康保険」には、控除証明書がありません(自治体によっては発行している場合もあります)。

ですので、控除証明書の添付は必要なく、金額を記入するだけで大丈夫です。

社会保険料控除には上限額はなく、今年中に支払った全額を控除できます。

 

4. 小規模企業共済などを支払っている

小規模企業共済などを支払っている場合には「小規模企業共済掛金控除」の対象となり、年末調整で還付金を受けられる可能性があります。

小規模企業共済掛金控除は、支払っている全額を記入することができます。

小規模企業共済掛金控除には以下の3つがあります。

・独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金

いわゆる小規模企業共済のこと。会社勤めのサラリーマンが年末調整で記入できるのは、以前に個人事業主として小規模企業共済に加入していたことがあり、現在も続けている場合になります。控除証明書が送られてくるのでそれを元に年末調整用紙に記入します。

・個人型又は企業型年金加入者掛金

確定拠出年金(日本版401k)。個人型は控除証明書が送られてくるのでそれを元に年末調整用紙に記入します。企業型は給与天引きなので、控除証明書の添付も記入も必要ありません。

・心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
地方公共団体が運用する制度で、心身障害者を扶養する保護者に万一のこと(死亡や重度障害など)があった場合に、扶養している心身障害者に終身一定額の年金を支給する制度です。控除証明書が送られてくるのでそれを元に年末調整用紙に記入します。

 

5. 住宅ローン控除がある(2年目以降)

2年目以降の住宅ローン控除がある場合には、年末調整時に会社に提出することで、還付金を受け取ることができます。

住宅ローン控除とは、借り入れした住宅ローンの年末時点の残高の1%(または0.5%)分に対して、その年に支払った所得税の還付を受けられたり、来年支払う住民税が減ったりする制度のことです。

初年度の申請には必ず確定申告が必要ですが、2年目以降は会社の年末調整にて手続きすることができます。

必要書類は以下の2点です。

・住宅借入金等特別控除証明書
・金融機関からの借入金の年末残高等証明書

 

6. 年の途中で結婚した

年の途中で結婚し、配偶者のその年の年収が103万円以下の場合は「配偶者控除」の対象となります。
また、配偶者の年収が103万円以上、141万円以下の場合は「配偶者特別控除」の対象となります。

通常、会社では前年の年末調整時に提出された「扶養控除申告書」にある扶養人数をもとに、1月からの所得税額を計算しています。
給与天引きされる所得税額は、扶養人数によって金額が変わるためです。

ですから、年の途中で結婚して、控除対象となる親族がいることを会社に伝え忘れている場合には、本来より多く所得税が引かれている状態になります。

配偶者の年収が103万円までは38万円の控除額、年収103万以上141万までは段階的に控除され、141万円までは少しずつ減りながらもいくらかは控除があるということになります。

 

7. 年の途中で親を養うことになった

年の途中で70歳以上の親を養うことになった場合には「老人扶養控除」の対象となります。

老人扶養控除とは、12月31日現在の年齢が70歳以上の、自分や配偶者の父母や祖父母の生活費の面倒をみている場合に受けられる控除です。

控除額は同居の場合58万円、別居の場合は48万円になります。

70歳以上が対象ですので、年金をもらっている場合が多くなると思いますが、収入が年金だけの場合は年金収入が158万円以下の場合は、老人扶養親族となることができます。

通常、会社では前年の年末調整時に提出された「扶養控除申告書」にある扶養人数をもとに、1月からの所得税額を計算しています。

給与天引きされる所得税額は、扶養人数によって金額が変わるためです。

ですから、年の途中で親を扶養することになり、控除対象となる親族がいることを会社に伝え忘れている場合には、本来より多く所得税が引かれている状態になるので還付金を受けられる可能性があります。

 

8. 年の途中で扶養親族が増えた

年の途中で扶養親族が増えた場合には「扶養控除」の対象になります。

扶養親族とは、12月31日現在の年齢が16歳以上の人が対象で、一般の扶養控除額は38万円、特定扶養控除は63万円です。

一般の扶養親族とは、高校生や、23歳以上の無職やフリーター(給与収入が103万円以下の人)の生活費の面倒をみている場合が該当します。

特定扶養親族とは、主に大学生の学費負担の軽減を目的として創設されたものです(子供が大学生でなくても控除は受けられます)。

通常、会社では前年の年末調整時に提出された「扶養控除申告書」にある扶養人数をもとに、1月からの所得税額を計算しています。

給与天引きされる所得税額は、扶養人数によって金額が変わるためです。

ですから、年の途中で扶養親族を扶養することになり、控除対象となる親族がいることを会社に伝え忘れている場合には、本来より多く所得税が引かれている状態になるので還付金を受けられる可能性があります。

 

9. 本人が障害者または家族に障害者がいる

本人、控除対象配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には控除を受けることができます。
障害者一人につき27万円、特別障害者は40万円、生計を一にし同居の場合は75万円の控除額です。

なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。

 

10. シングルマザー、シングルファザーになった

シングルマザー、シングルファザーの場合には「寡婦・寡夫控除」を受けることができます。
寡婦・寡夫とは、配偶者と死別または離別し、再婚していない人のことを言います。

以下の条件にあてはまると控除が受けられます。

寡婦控除…1. 扶養親族がいること、または生計を一にする子がいること。2. 合計所得金額が500万円以下であること(扶養親族などの要件はなし)上記1.2のどちらかに該当すると控除額は27万円。

特別の寡婦…合計所得金額が500万円以下で、なおかつ扶養親族である子がいる場合。控除額は35万円。

寡夫…合計所得金額が500万円以下で、なおかつ生計を一にする子がいること。控除額は27万円。

※上記の場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

 

11. 仕事をしながら学校に通っている

仕事をしながら学校に通っている場合には「勤労学生控除」を受けることができます。

勤労学生とは、以下の3つの要件すべてに該当する人を指します。

勤労学生控除の要件

  • (1)給与所得などの勤労による所得があること
  • (2)合計所得金額が65万円以下で、しかも(2)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
  • (3) 特定の学校の学生、生徒であること
    ・学校教育法に規定する学校
    ・国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校
    ・認定職業訓練を行う職業訓練法人

アルバイトなど給与所得のみの場合は、収入が130万円以下の場合が勤労学生控除に該当します。

 

12. 毎月の給与のわりに賞与が少ない

毎月の給与のわりに賞与の金額が少ない場合には、年末調整にて還付金を受けられる可能性があります。

賞与から天引きされる所得税の計算方法は、「前月の給与」を基準として計算します。
この時に用いられる税率は「賞与が年間を通じて給与の5か月分支払われるもの」として算出されています。

つまり、1年間で毎月の給料の5倍を超えるボーナスが支給されない限り、賞与時に天引きされている所得税は多めに控除されているので、年末調整にて還付金が受けられる可能性があるのです。

 

13. 還付金が少なくなる、または新たに徴収される可能性があるパターン

今までは、年末調整にて還付金が受けられる可能性の高い事例をお話しましたが、場合によっては還付金が少なくなる、または新たに徴収される可能性があるパターンがあります。

13-1. 年の途中で扶養控除の対象となっていた子どもが就職して、扶養親族が少なくなった

年の途中で扶養親族となっていた子供が就職して、扶養親族の要件を満たさなくなった場合には、年末調整時の還付金が少なくなる可能性があります。

通常、会社では前年の年末調整時に提出された「扶養控除申告書」にある扶養人数をもとに、1月からの所得税額を計算しています。

給与天引きされる所得税額は、扶養人数によって金額が変わるためです。

ですから、年の途中で子が扶養から抜け、控除対象となる親族が減ったことを会社に伝え忘れている場合には、本来より少なく所得税が引かれている状態になるので還付金が少なくなる可能性があります。

あらかじめ年の途中で抜けることがわかっている場合には、早めに会社に伝えておきましょう。

13-2. 年の途中で配偶者に年間103万円を大幅に超える収入があって、配偶者控除や配偶者特別控除の適用がなくなった

年の途中で、専業主婦や扶養内パートをしていた配偶者に、年間103万円を大幅に超える収入があって、配偶者控除や配偶者特別控除の適用がなくなった場合には、年末調整時の還付金が少なくなる可能性があります。

配偶者の年収が103万円までは、38万円の控除額があります。

また、年収103万円を超えた場合でも、103万以上141万までは段階的に控除額が設定され、141万円までは少しずつ減りながらもいくらかは控除があります。

通常、会社では前年の年末調整時に提出された「扶養控除申告書」にある扶養人数をもとに、1月からの所得税額を計算しています。

給与天引きされる所得税額は、扶養人数によって金額が変わるためです。
ですから、年の途中で配偶者の年収が扶養から大きく外れ、控除対象外となると、本来より少なく所得税が引かれている状態になるので還付金が少なくなる可能性があります。

13-3. 賞与が毎月の給料額の5倍超〜10倍未満の額が支給された

賞与が毎月の給料額の5倍超〜10倍未満の額が支給された場合、年末調整の還付金が少なくなる可能性があります。
賞与から天引きされる所得税の計算方法は「前月の給与」を基準として計算します。
この時に用いられる税率は「賞与が年間を通じて給与の5か月分支払われるもの」として算出されています。

つまり、1年間で毎月の給料の5倍を超えるボーナスが支給された場合は、所得税が少なく天引きされていることになります。
しかし、10倍を超える場合には、また別の計算式を用いることとなっていますので、給料額の5倍超〜10倍未満の賞与が支給された場合は、年末調整時の還付金が少なくなる可能性があります。

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