株式会社・合同会社の役員報酬議事録のひな形とそのポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
役員報酬議事録

役員報酬をはじめて設定する時や、変更する時には、かならず“議事録”をのこす必要があります。
なぜなら、議事録がなければ、税務調査に入られた時に、損金算入(税金を減らすこと)を否認され、追加で税金を納める可能性があるからです。
ここでは、設立時の役員報酬の議事録と、役員報酬の変更時の議事録のひな形をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

 

1. 役員報酬の議事録が必要なのは2つの時
2. 設立時の役員報酬の議事録
3. 役員報酬変更時の議事録
4. 合同会社設立時・変更時の役員報酬議事録

 

1. 役員報酬の議事録が必要なのは2つの時

役員報酬の議事録が必要になるのは以下の時です。

・会社の設立時

・役員報酬を変更する時

そもそも議事録とは、正式には「株主総会議事録」のことをさします。
株主総会議事録とは、株主総会を開催した経過や結果などを記録し、それをつたえるための文書のことです。

なぜ役員報酬を設定したり、変更したりする時に株主総会議事録が必要なのかというと、会社法では重要な意思決定の経過や結果などを記録する資料として、議事録を作成・保存することが義務づけられているからです。

役員報酬は、税務調査でも特に問題となる点のひとつです。
税務調査で役員報酬を巡って問題になった場合、株主総会などが開催され、その場で決定された事を証明する重要な資料として株主総会議事録の作成・保存が必要となります。

合同会社の場合は、株主総会議事録ではなく、社員総会などで決定した「同意書・または決定書」を作成・保存します。

以下から設立時に必要になる役員報酬の議事録と、役員報酬変更時に必要になる議事録のひな形と書き方を記載しますのでご参考にしてください。

 

2. 設立時の役員報酬の議事録

役員報酬は設立してから3カ月以内の株主総会にて決定します。

具体的な手順としては、臨時株主総会で役員報酬を決定し、株主総会議事録を残します。
ですから、臨時株主総会の開催日は、設立日より3ヶ月以内の日付になります。

設立してすぐに開く株主総会は、定時株主総会ではなく、臨時株主総会です。(第1回の定時株主総会は、設立2期目の2ヶ月目くらいに開催しているところが多いです)
ここでは、中小企業の設立時の多くが取締役1名での設立のため、代表取締役1名の臨時株主総会議事録のひな形をご紹介します。

[株式会社]役員報酬設定時の株主総会議事録→ダウンロード(Word)

[設立時]臨時株主総会議事録

発行済株式総数は定款に定めたものと合わせます。

通常は、発行済株式総数と議決権の数、議決権の個数は同じ場合が多いです。

株主総会を開催するにあたり、取締役が複数いる場合には、議長と議事録作成者を指名します。(ここでは代表取締役1名のため、議長も議事録作成者も同じになっています)

議事録に決定した役員報酬の金額を記載しますが、役員報酬の決め方については「役員報酬を決める時に必ず知っておきたい6つのポイント」をご覧ください。

※中小企業であっても、大企業に負けない「いい会社」を作りたい方はこちら

 

3. 役員報酬変更時の議事録

役員報酬の変更は、原則として、事業年度開始日から3カ月以内に変更します。

具体的な手順としては、定時(臨時)株主総会で役員報酬の変更を決定し、株主総会議事録を残します。
定額の役員報酬の変更については、税務署への届出は不要です。

健康保険・厚生年金に加入の会社の場合は、日本年金機構に「被保険者報酬月額変更届」が必要になる場合もあります。
詳しい役員報酬の変更の手順は「役員報酬を変更するための手順と注意点ポイント5つ」をご覧ください。

[株式会社]役員報酬変更時の株主総会議事録→ ダウンロード(Word)

[変更時]定時株主総会議事録

発行済株式総数は定款に定めたものと合わせます。
通常は、発行済株式総数と議決権の数、議決権の個数は同じ場合が多いです。

株主総会を開催するにあたり、議長と議事録作成者を指名します。
議事録に決定した役員報酬の金額を記載し、出席者が署名・捺印します。
代表者の印は会社印、その他の出席者は認印となります。

 

4. 合同会社設立時・変更時の役員報酬議事録

合同会社の役員報酬は、設立してから3カ月以内に決定します。
変更の場合も、原則は事業年度開始日から3カ月以内に変更します。

具体的な手順としては、臨時社員総会で役員報酬を決定し、社員総会議事録(同意書または決定書)を作成・保存します。

定額の役員報酬の変更については、税務署への届出は不要です。
健康保険・厚生年金に加入の会社の場合は、日本年金機構に「被保険者報酬月額変更届」が必要になる場合もあります。

ただ、合同会社は、株式会社のように、議事録の作成は義務ではありません。

しかし、議事録など同意書または決定書がないと税務調査時に損金算入(税金を減らすこと)を否認される可能性があります。
税務調査に入られた時のためにも、株式会社と同じように作成・保存しておくようにしましょう。

詳しい役員報酬の変更の手順は「役員報酬を変更するための手順と注意点ポイント5つ」をご覧ください。

[合同会社] 役員報酬変更の同意書→ダウンロード(Word)

[役員報酬]合同会社同意書

合同会社の決定書または同意書は、株主総会議事録に比べると簡単です。
開催日、決定した内容、社員の署名・捺印があれば大丈夫です。
代表社員の印は会社印を使用します。

最後に

いかがでしょうか。
役員報酬を設定したり変更した場合は、必ず議事録を作成し、保存し、いつでも提出できるようにしておきましょう。
役員報酬については「役員報酬を決める時に必ず知っておきたい6つのポイント」「役員報酬を変更するための手順と注意点ポイント5つ」をご覧ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事を書いた税理士に役員報酬の相談をしたい方へ

意外に知られていない税理士の大事な仕事のひとつに「役員報酬の設定に関するアドバイス」があります。

役員報酬とは、経営者をはじめ、会社の役員がもらう報酬のことですが、役員報酬には従業員給与とは違い、税法上の決まりがいろいろあり、設定には最新の注意が必要です。

税金をもっとも少なくしたい時の役員報酬の設定方法や、金融機関からの融資を考えた場合、運転資金を残したい場合など、会社の状況に応じて設定額がさまざまにかわります。

いろいろなバランスを見て、経営者の意向を反映して一緒に設定額を考えます。

※メールや電話でのご相談は現在承っておりません。台東区にあるオフィスにお越しいただける方を対象としておりますので、ご了承ください。

詳しくは下記ボタンよりご説明をお読みください。


【台東区】役員報酬相談についてはこちら