あなたは今、企業版ふるさと納税について、どれくらい税金でトクをするのか、どんな制度なのかなどお調べのことでしょう。
2016年の企業版ふるさと納税では、今までのふるさと納税にくらべて、大きく節税につながることが決定されました。
ここでは、2016年に決定した企業版ふるさと納税の制度やしくみ、その節税効果についてお話しします。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
2. 2016年企業版ふるさと納税は今までの2倍の節税効果がある
1. 企業版ふるさと納税のポイント6つ
企業版ふるさと納税のポイントは以下になります。
- 企業版ふるさと納税は、今までの2倍の節税効果がある
- 今でも企業によるふるさと納税は可能だった
- 寄付金の最低額は10万円
- 寄付できる地方公共団体に制限がある
- 企業版では特典や特産品などが受け取れない場合もある
- 特典や特産品は受け取ると「受贈益」
以下から詳しくご説明します。
2. 2016年企業版ふるさと納税は今までの2倍の節税効果がある
2016年の企業版ふるさと納税は、今までの2倍の節税効果があります。
ここが今回の企業版ふるさと納税の大きなメリットです。
2016年企業版ふるさと納税のしくみは以下のとおりです。
- 寄付金額の全額を損金算入することで約3割の節税効果…国税・地方税
- 【新設】寄付金額の2割を税額控除…法人住民税・法人税
- 【新設】寄付金額の1割を税額控除…法人事業税
- 残りの4割が企業負担
今までの寄付税制でも、全額損金算入することで約3割の税金が戻ってくる制度でした。
2016年はさらに、寄付金額の2割を法人住民税・法人税、寄付金額の1割を法人事業税の合計3割の税額控除ができることになりました。
しかし、寄付をすることで節税効果はありますが、確実に会社に残るキャッシュは減ります。
中小企業の場合、会社に残るキャッシュは、今後の資金繰りを左右する大切なお金ですから、安易に節税に飛びつかず、税理士に相談しましょう。
3. 今までの企業版ふるさと納税のしくみ
実は今までも企業はふるさと納税を行うことができないわけではありませんでした。
ただ、今までは効果があまりなかったため、企業によるふるさと納税は盛んには行われてきませんでした。
今までのふるさと納税のしくみは以下のとおりです。
今までの企業版ふるさと納税の節税額
・寄付金額の全額を損金算入でき、約3割の節税効果
今回の企業版ふるさと納税では、節税効果が2倍になったので、以前よりは利用しやすくなったと思います。
ただし、企業版ふるさと納税を受付けている自治体が対象です(このあと5でお話します)。
さらに、会社に残るキャッシュは確実に減ってしまいますから、税理士によく相談して行うようにしましょう。
4. 寄付金の最低額は10万円
企業版ふるさと納税の最低寄付金額は、10万円と決められています。
個人のふるさと納税は、2,000円以上ですから、企業版の方がかなり最低寄付金額が大きいことになります。
5. 寄付できる地方公共団体に制限がある
企業版ふるさと納税は、寄付できる地方公共団体に制限があります。
いわゆる、個人版のふるさと納税と同じように寄付しただけでは、企業版ふるさと納税とはなりません。
寄付できる地方公共団体は以下のとおりです。
- ※「地方版総合戦略」を策定する地方公共団体が対象
- 地方交付税の不交付団体であること
- 市町村については、その全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域とされている団体であること(→東京都、23特別区、東京圏に所在する不交付団体(18市町)が対象外)
-
※企業の主たる事務所が立地する地方公共団体に対する寄付は対象外。
財政的に豊かな地方公共団体への寄付は対象外ということになります。
例えば、トヨタ自動車の本社がある愛知県豊田市などがそれにあたります。
地方交付税の不交付団体は平成27年度で60ほどあります。
- 北海道…泊村
青森県…六ヶ所村
福島県…広野町、大熊町
茨城県…神栖市、東海村
栃木県…芳賀町
群馬県…太田市、大泉町
埼玉県…戸田市、三芳町
千葉県…市川市、成田市、浦安市、袖ケ浦市
東京都…立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、国分寺市、多摩市、羽村市、瑞穂町
神奈川県…鎌倉市、藤沢市、厚木市、寒川町、箱根町
新潟県…聖籠町、刈羽村
山梨県…昭和町、忍野村、山中湖村
長野県…軽井沢町
静岡県…御殿場市、裾野市、湖西市、長泉町
愛知県…碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、小牧市、東海市、大府市、日進市、みよし市、長久手市、豊山町、大口町、飛島村、幸田町
三重県…川越町
京都府…久御山町
大阪府…田尻町
福岡県…苅田町
佐賀県…玄海町
6. 企業版では特典や特産品などが受け取れない場合もある
特典が話題となって寄付が増えた個人のふるさと納税ではありますが、企業版では企業と地方公共団体の癒着が指摘されており、地方公共団体が企業に寄付の見返りとしての特典や特産品を与えない場合があります。
現在は地方公共団体によって、特典や特産品を与える、与えないが違いますので、寄付の際には直接問い合わせるなどしてから寄付をしましょう。
7. 特典や特産品は受け取ると「受贈益」
企業版ふるさと納税では、寄付をした際にもらった特典や特産品の税務上の取扱いについては「受贈益」として処理します。
地方公共団体は法人とされているため、ふるさと納税でもらう特典や特産品は、法人からの「贈与」という扱いになります。
国税庁HP「「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係」より抜粋
ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。
ですので、税法上は法人から法人への贈与となり、特典や特産品を「受贈益」として計上しなくてはいけません。
例えば、50万円を寄付して、20万円相当の特産品をもらった場合は、20万円は受贈益となります。
受贈益には法人税がかかります。
特典や特産品の時価総額は地方公共団体のHPで確認するか、直接問い合わせます。
8. 企業版ふるさと納税の寄付のやり方
企業版ふるさと納税の寄附のやり方は、基本的には個人と変わりはありません。
企業版ふるさと納税のやり方は以下のとおりです。
1. 企業版ふるさと納税に対応した自治体にふるさと納税をする
まずは、企業版ふるさと納税に対応した地方公共団体に、ふるさと納税の申し込みをします。
企業版ふるさと納税に対応した地方公共団体とは、上記5でお話したとおり下記になります。
・「地方版総合戦略を策定する地方公共団体」であること
・地方交付税の不交付団体であること
2. ふるさと納税(寄付)をする
申込みをしたら、ふるさと納税(寄付)をします。
3. 特典や特産品をもらう(もらえる場合のみ)
寄付をして、企業でも特典や特産品がもらえる場合には、地方公共団体から送られてきます。
特産物や特典を申し込める期間や、来る時期も、地方公共団体によって違うので確認しましょう。
4. 特典や特産品を受贈益として計上する
特典や特産品を受け取った場合には、受贈益として計上します。
金額は、特典や特産品の時価総額ですが、地方公共団体のHPなどで金額を確認します。
受贈益は、損益計算書の特別利益になります。
5. 寄附金受領証明書を受け取る
特産品や特典に同梱されているか、もしくは別の時期に「寄附金受領証明書」という用紙が送られてきます。
これは、たとえば2箇所にふるさと納税した場合には、A市とB市からそれぞれ送付されます。
6. 決算時に寄付金を全額損金として計上する
企業版ふるさと納税での寄付金は、全額を損金として計上できます。
寄付し、受領証明書のある寄付金額を計上します。
最後に
いかがでしたでしょうか。
企業版ふるさと納税は、現行の制度よりも節税額が大きくなりました。
しかし、個人のふるさと納税に比べてキャッシュの持ち出しも多いので、安易に飛びつくのは注意したいところです。
けれど、寄付をすることで、地域貢献や企業のイメージアップも期待されます。
ぜひ検討してみてください。