外国税額控除とは、海外株式などの配当金を受け取り、確定申告した時に受けられる控除のひとつです。
ここでは、確定申告時における外国税額控除のポイントをお話します。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
2. 外国税額控除は、日本と海外の二重課税を調整するためのもの
1.外国税額控除のポイント3つ
外国税額控除のポイントは以下になります。
- 外国税額控除は、日本と海外の二重課税を調整するためのもの
- NISA口座は適用外
- 外国税額控除の計算方法は、まず所得税から控除し、所得税で控除しきれないときは県民税から控除、さらに控除しきれないときには市民税から控除するという3段階
下記から詳しく説明します。
2. 外国税額控除は、日本と海外の二重課税を調整するためのもの
外国税額控除とは、あなたが保有している海外株式などの配当金を受け取った時に、日本と海外とで二重課税されているのを調整するためのものです。
海外で株式などを保有していて、配当金を受け取ると、まず海外で現地課税されます。
さらにその配当金について、日本でも所得税及び特別復興税と住民税が源泉徴収(天引き)して支払われています。
つまり、あなたの口座に振り込まれている配当金は、すでに日本と海外で二重で税金を支払った残りということになります。
この二重課税を調整するために、確定申告で「外国税額控除」を利用して還付を受けるという制度です。
3. NISA口座は適用外
NISA口座とは、株式などの売却益や配当金(分配金)の税金がゼロになるという優遇税制です。
NISA口座で購入した海外株式などの配当金は、外国税は課税されますが国内の所得税・住民税は非課税になります。
外国税のみ課税されることから、二重課税に該当しないため、外国税額控除の適用を受けることができません。
4. 外国税額控除の計算方法と記入のしかた
外国税額控除は、まず所得税から控除し、所得税で控除しきれないときは、県民税から控除、さらに控除しきれないときには市民税から控除するという3段階になっています。
外国税額控除の限度額は、配当控除や住宅ローン控除などの税額控除をすべて差し引いた残額が限度額です。
手順1) 所得税の外国税額控除限度額の算出方法
その年分の所得税額×(その年分の国外所得総額÷その年分の所得総額)
手順2) 県民税の外国税額控除限度額の算出方法
所得税の外国税額控除限度額×12%
手順3)市民税の外国税額控除限度額の算出方法
道府県民税 | 市町村民税 | 合計 | |
指定都市以外の区域内に住所を有する方 | 12% | 18% | 30% |
指定都市の区域内に住所を有する方 | 6% | 24% | 30% |
※指定都市とは、地方自治法第252条の19第1項の「政令で指定する人口五十万以上の市」いわゆる政令指定都市を言います。
例)国税庁: 外国税額控除を受けられる方へ参照
・所得総額が5,446,000円(確定申告書第一表の所得金額の合計より)
・所得税額が200,800円(確定申告書第一表、税金の計算の差引所得税額より)
・外国株式の配当金220,000円(2000ユーロ、為替レート110円/ユーロで計算)
・外国税額22,000円(税率10%)
所得税の控除限度額 :200,800円×(220,000円÷5,446,000円)=8,111円
復興所得税の控除限度額
200,800円×2.1%=4,216円
4,216円×(220,000円÷5,446,000円)=170円
合計:8,111円+170円=8,281円
県民税 : 8,281円×12%=993円
市民税 : 8,281円×18%=1,490円
外国税額控除
1. 控除限度額=8,281円
2. 外国税額=22,000円
3.1と2のいずれか少ない方=8,281円
5.外国税額控除の必要書類
外国税額控除を受ける場合には、確定申告書に以下の書類を添付する必要があります。
- 外国税額控除に関する明細書
- 外国所得税を課されたことを証する書類
- 外国所得税の名称、金額、納付日、国もしくは地方公共団体の名称、外国税額控除の対象であることがわかる記載のある書類
外国税額控除に関する明細書は、税務署、もしくは国税庁HPよりダウンロードします。
課税の証明書などは、具体的には証券会社が発行する「年間取引報告書」や「支払通知書」となります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
最近では海外株式を所有している人も多いと思いますが、二重で課税されていることを知らない人も多いのではないでしょうか。
上記を参考に、ぜひ外国税額控除の適用を検討してみてください。