定款変更は、会社の商号を変更したい時や、事業目的を追加したい時、会社の住所を変更したい時など、さまざまな場面で出てきます。
ここでは、定款を変更をするのに必ず必要な「株主総会議事録」の記載の仕方をご説明します。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
0. 定款変更の手順
1.「商号変更」の株主総会議事録
2.「事業目的変更」の株主総会議事録
3.「会社(本店)の住所の変更」の株主総会議事録
4.「役員変更(辞任・就任)」の株主総会議事録
5.「決算月(事業年度)変更」の株主総会議事録
0. 定款変更の手順
定款変更では、会社設立時に作成した定款(紙・電子)はいずれも「原資定款」となり、その定款自体は書き換えません。
定款変更とは、株主総会で定款の変更を決定し「株主総会議事録」に残すことを言います。
その後、必要があれば法務局や税務署に定款変更の申請をします。
法務局では、変更の内容により、数万円の登記費用がかかります。
詳しい手順は「自分でできる定款変更の手順と必要書類のポイント」をご覧ください。
1. 「商号変更」の株主総会議事録
商号変更の株主総会議事録では、議案を「定款変更の件」とし、次のように記載します。
商号変更の株主総会議事録の記載内容
- 議案 定款変更の件
1 定款第1条を次のとおり変更すること。
(商号)
第1条 当会社は、商号を◯◯株式会社と称する。
代表者、取締役、監査役は署名押印します。
代表者は法務局の届出法人印を押印します。(他は認印で大丈夫です)
商号を変更するときには、法務局で同一の所在場所に同一商号の会社が他に存在しないかを調査しておきましょう。
→法務省:オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について
2.「事業目的変更」の株主総会議事録
事業目的変更の株主総会議事録では、議案を「定款変更の件」とし、次のように記載します。
事業目的変更の株主総会議事録の記載内容
- 議案 定款変更の件
1 定款第2条を次のとおり変更すること。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1 ◯◯の製造販売
2 ◯◯の販売
3 前各号に付帯する一切の事業
代表者、取締役、監査役は署名押印します。
代表者は法務局の届出法人印を押印します。(他は認印で大丈夫です)
注意することは、事業目的は変更部分だけでなく、変更後の全ての目的を記載するようにします。
3. 「会社(本店)の住所の変更」の株主総会議事録
住所変更の株主総会議事録では、議案を「定款変更の件」とし、次のように記載します。
事業目的変更の株主総会議事録の記載内容
- 議案 定款変更の件
議長は、業務の都合上、本店を◯県◯市に移転したいことを述べ、その理由を説明し、定款◯条を次のとおり変更したい旨を述べ、その賛否を問うたところ、満場異議なくこれを承認可決した。
(本店)
第◯条 当会社は、本店を◯県◯市に置く。
代表者、取締役、監査役は署名押印します。
代表者は法務局の届出法人印を押印します。(他は認印で大丈夫です)
第◯条のところは、実際の原始定款に合わせます。
住所の記載は、市区町村までを記載する方法と、番地までを記載する方法があります。
市区町村までを定款に記載し、同じ市区町村内の移転であれば、定款の変更の必要はありません。(ただし、同じ市区町村内の移転でも、法務局への登記申請は必要です)
4. 「役員変更(辞任・就任)」の株主総会議事録
役員変更の株主総会議事録では、議案を「定款変更の件」とし、次のように記載します。
役員変更の株主総会議事録の記載内容
- 議案 取締役の辞任に伴う改選に関する件
議長は、取締役法務次郎から辞任の申出があったため、後任者の選任の必要がある旨を述べ、その選任方法を諮った(はかった)ところ、出席株主中から議長の氏名に一任したいとの発言があり、一同これを承認した。
議長は、下記の者を後任者に指名し、この者につきその可否を諮ったところ、満場異議なくこれに賛成したので、下記のとおり就任することに可決確定した。
取締役 法務 花子
なお、被選任者は、その就任を承諾した。
代表者、取締役、監査役は署名押印します。
代表者は法務局の届出法人印を押印します。(他は認印で大丈夫です)
5. 「決算月(事業年度)変更」の株主総会議事録
決算月(事業年度)変更の株主総会議事録では、議案を「定款変更の件」とし、次のように記載します。
決算月(事業年度)変更の株主総会議事録の記載内容
- 議案 定款変更の件
(現行定款)
第◯条 当会社の営業年度は毎年4月1日より翌年3月31日までとする。
(変更後定款)
第◯条 当会社の営業年度は毎年8月1日より翌年7月31日までとする。
代表者、取締役、監査役は署名押印します。
代表者は法務局の届出法人印を押印します。(他は認印で大丈夫です)
決算月の変更の場合は、法務局への登記申請はいりません。
しかし、税務署へ「異動届出書」の提出が必要になります。
異動届出書は、実際に変更となる決算期が完了する前に提出します。
例えば、3月決算を7月決算に変更し、変更後最初の決算が平成27年7月31日である場合には、平成27年7月31日までに、決算期変更の議事録と異動届出書の提出をすることになります。
また、3月決算を7月決算へ変更した場合、変更後最初の事業年度は4月1日~7月31日までとなりますので、ご注意下さい。
最後に
いかがでしたでしょうか。
定款変更の議事録は、上記のひな形を用いて作成し、必ず会社で保存しておきましょう。
詳しい定款変更の手順は「自分でできる定款変更の手順と必要書類のポイント」を参考にしてください。