いよいよ2017年1月4日より、国税や確定申告でも「クレジットカード納税」ができるようになります。
クレジットカードで納税ができるようになると、資金繰りの面でも余裕ができるようになりますので、ぜひ利用したいところです。
しかし、クレジットカードのポイント付与の面では、注意も必要となります。
ここでは、クレジットカード納税についてのポイントをお話していますので、ぜひ参考にしてください。
0.クレジットカード納税のポイント7つ
クレジットカード納税のポイントは以下のようになります。
- 2017年1月4日より国税も納税可能。確定申告の納税もクレジットカードOKに。
- クレジットカードのポイントはつくが、お得かどうかはカードによる。
- 納税額1万円につき78円の決済手数料がかかるので注意。
- クレジットカード払いの方法はWEB上で手続き。窓口はなし。
- 納付日はカード払い手続きがWEB上で完了した日。引き落とし日ではない。
- 今までも自動車税など地方税は東京23区などではクレジットカード納税ができた。
- 国税サイトを使わないクレジットカード納税のやり方もある。
以下から、詳しくお話します。
1.2017年1月4日より国税も納税可能。確定申告の納税もクレジットカードOKに。
今までクレジットカード払いができなかった国税においても、平成29年1月4日よりインターネット上「国税クレジットカードお支払サイト」でのクレジットカード納税が可能となります。
取扱いできる税目は「納付書で納付できる国税」となり、以下のとおりです。
- 申告所得税及び復興特別所得税
- 消費税及び地方消費税
- 法人税(連結納税を含む)
- 地方法人税(連結納税を含む)
- 相続税
- 贈与税
- 源泉所得税及び復興特別所得税(告知分のみ)
- 源泉所得税(告知分のみ)
- 申告所得税
- 復興特別法人税(連結納税を含む)
- 消費税
- 酒税
- たばこ税
- たばこ税及びたばこ特別税
- 石油税
- 石油石炭税
- 電源開発促進税
- 揮発油税及び地方道路税
- 揮発油税及び地方揮発油税
- 石油ガス税
- 航空機燃料税
- 登録免許税(告知分のみ)
- 自動車重量税(告知分のみ)
- 印紙税
※「告知分」とは…源泉所得税及び復興特別所得税や登録免許税、自動車重量税で、納付期限が過ぎたものについては、納付をうながすために納税通知書と納付書を、税務署が作成して送付することがあります。これを「納税の告知」といいます。なお、源泉所得税及び復興特別所得税の告知分以外は、平成29年6月からの開始が予定されています。
※複数の税目をまとめてクレジットカードの納税手続きをすることはできません。
※次回の納税時に、自動的にクレジットカード納税されるようなことはありません。毎回、手続きが必要です。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
- TS CUBIC CARD
- 一括払い
- 分割払い(3回、5回、6回、10回、12回)
- リボ払い
-
※分割払い・リボ払いの場合は、利用額に応じた決済手数料に加えて、各カード会社の定める手数料が発生する場合があります
2017年1月4日以降は、確定申告でもクレジットカード納税は可能となります。
納税の方法は、このあとお話しします。
2.クレジットカードのポイントはつくが、お得かどうかはカードによる。
クレジットカード納税であっても、通常通りのクレジットカードポイントがつきます。
ただし、ポイントがつくからお得かどうかは、そのクレジットカードの「ポイント還元率」によって変わります。
なぜなら、このあとの3でお話ししますが、クレジットカード納税の場合、クレジットカード決済手数料は「自分持ち」となるからです。
クレジットカードのポイント還元率とは、利用金額に対して何円相当のポイントが返ってくるかを%で表したものです。
100円利用するごとに1円相当のポイントが返ってくるクレジットカードの還元率は1%になります。
クレジットカード納税の場合、決済手数料は1万円につき78円ですから、0.78%となります。
例えば、あなたの持っているクレジットカードの還元率が0.5%の場合、0.78%を下回るのでクレジットカード納税をしたほうが決済手数料を支払う分、損になります。
クレジットカード納税の決済手数料については次の3でお話するので、どちらが得かお考えください。
3.納税額1万円につき78円の決済手数料がかかるので注意。
クレジットカード納税の場合、納税額1万円につき78円の決済手数料がかかるので注意が必要です。
決済手数料とは、クレジットカード会社に支払う利用料のことです。
普段、クレジットカード払いを選択するときには、決済手数料を自分が負担することはほとんどないと思います。
それは、お店側が決済手数料を負担しているからです。
しかし、クレジットカード納税の場合は、決済手数料は自分持ちとなります。
クレジットカード納税の決済手数料は以下のとおりです。
税 額 | 決済手数料 |
1円~10,000円 | 73円(消費税込78円) |
10,001円~20,000円 | 146円(消費税込157円) |
20,001円~30,000円 | 219円(消費税込236円) |
30,001円~40,000円 | 292円(消費税込315円) |
40,001円~50,000円 | 365円(消費税込394円) |
※以降、税額が10,000円増えるごとに決済手数料73円(消費税別)が加算されます。
ここで特に注意したい点は「1万円ごとに78円がかかる」という点です。
たとえば、100円の納税額でも78円ですし、1,000円でも78円ですし、10,000円でも78円です。
10,000円以降でも、10,001円でも157円ですし、20,000円でも157円です。
10,001円で157円の場合は1.57%、20,000円で157円の場合は0.785%になります。
納税額によっては、お手持ちのクレジットカードよりもポイント還元率が低くなることもあります。
ポイントがつくからお得、とは必ずしも言えませんのでご注意ください。
また、納付書一枚ごとに手数料がかかる点にも注意しましょう。
4.クレジットカード払いの方法はWEB上で手続き。窓口はなし。
クレジットカード納税の支払い方法はWEB上での手続きとなります。
金融機関やコンビニ、税務署の窓口での納付方法はありません。
具体的には、インターネットの「国税クレジットカードお支払サイト」で入力することにより納税することができます。
具体的な納税の手順は以下のとおりです
「国税クレジットカードお支払サイト」において、次の手順で納付手続を行います。
-
クレジットカード納付を行う税金の情報を入力
税金の種類(税目)や課税期間、申告区分(確定申告など)を入力し、納付する税額を入力します。
入力内容は、自分で作成した確定申告書や、税務署から送付される通知書などを参照します。
-
利用するクレジットカードの情報を入力
クレジットカードの番号、納付手続完了メールの送信先アドレスなどを入力します。
※国税庁サイト「クレジットカード納付手続の流れ」より
-
納付手続の確定
「納付」ボタンを押すことで、納付手続が確定します。なお、納付手続きの完了後は、納付手続きの取り消し、納税の猶予等を受けることはできません。
誤りがあった場合は、後日税務署からの還付等の手続きを行うことになりますので、管轄の税務署に連絡してください。
-
手続の完了
納付手続の完了ページが表示されますので、表示画面を印刷するなどして保存します。
-
クレジットカードの決済
カード会社の会員規約に基づき支払いをします。
-
納付手続きの完了メール
国税クレジットカードお支払サイトにおいて、納付手続きの完了メールの送信先アドレスを入力した場合は、完了メールが届きます。
-
クレジットカード明細の記載
クレジットカードの利用明細には、クレジットカード納付を行った情報が記載されます。
(例)申告所得税及復興特別所得税 または シンコクショトク/フッコウゼイ
消費税及地方消費税 または ショウヒ/チホウショウヒゼイ
法人税 または ホウジンゼイ
※記載される金額は納税額と決済手数料を合計した金額となります。
なお、クレジットカード納税の場合、領収書は発行されません。
領収書が必要な場合は、金融機関や税務署の窓口などで支払います。
5. 納付日はカード払い手続きがWEB上で完了した日。引き落とし日ではない。
クレジットカード納税の納付日は、カード払い手続きが「国税クレジットカードお支払サイト」上で完了した日となります。
銀行口座からの引き落とし日ではありません。
ですので、納期限内に手続きが完了していれば、クレジットカード利用代金の引落とし日が納期限をすぎた場合でも延滞税は発生しません。
実際のキャッシュが減るまでの時間が稼げるため、資金繰りの面で好影響となるのはクレジットカード納税のメリットのひとつです。
6.今までも自動車税など地方税は東京23区などではクレジットカード納税ができた。
今回は国税のクレジットカード納税が可能となりましたが、今までも自動車税など地方税は、東京23区などではクレジットカード納税ができました。
例) 「都税 クレジットカードお支払サイト」
- 自動車税
- 固定資産税・都市計画税(23区内のみ)
- 固定資産税(償却資産)(23区内のみ)
- 個人事業税
- 不動産取得税
- 鉱区税
- 法人都民税
- 法人事業税
- 地方法人特別税
- 都たばこ税
- ゴルフ場利用税
- 自動車取得税
- 軽油引取税
- 事業所税
- 宿泊税
- 住民税(普通徴収)
- 国民健康保険料(普通徴収)
地方税がクレジットカード納税できるかどうかは、各自治体によって異なりますので、各自治体のサイトを確認してみてください。
なお、地方税のクレジットカード納税の場合も、決済手数料は自己負担です。
7.国税サイトを使わないクレジットカード納税のやり方もある。
今回は、国税サイトからのクレジットカード納税ができるようになったお話しでしたが、今までも国税サイトを使わないクレジットカード納税のやり方もありました。
国税サイトを使わないクレジットカード納税の方法
・「yahoo!公金払い」でクレジットカード納税
・「nanacoカード」のチャージをクレジットカードで行うことで間接的にクレジットカード納税
7-1.「yahoo!公金払い」でクレジットカード納税
「yahoo!公金払い」で一部の地方税のクレジットカード納税をすることが可能です。
yahoo!公金払いは、地方税の他にも、いろいろなものがクレジットカードで支払えます。
- 自動車税
- 軽自動車税
- 固定資産税
- 住民税
- 国民健康保険税
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険
- 水道料金
- NHK放送受信料
- ガス料金
- 保育料 など
上記は、各都道府県によって利用できるかどうかが違いますので、自分の地域で利用できるかはサイトでお調べください。
決済手数料については、国税サイトよりもやや高めで、1万円までは0円ですが、それ以降は1万円につき108円かかります。
納付金額 | 決済手数料 |
~10,000円 | 0円 |
~20,000円 | 108円(税込) |
~30,000円 | 216円(税込) |
~40,000円 | 324円(税込) |
~50,000円 | 432円(税込) |
以降10,000円増える毎に108円(税込)ずつ加算
※自動車税の決済手数料はほとんどの地域で税額に関わらず一律324円。
ただ、水道料金については、金額に関わらず決済手数料0円のところもあり、お住いの地域でyahoo!公金払いが利用できるようであれば、一度調べてみても良いと思います。
7-2.「nanacoカード」のチャージをクレジットカードで行うことで間接的にクレジットカード納税
nanacoカードのチャージをクレジットカードで行うことで、間接的にクレジットカード納税が可能です。
nanacoカードとは、セブンイレブンやイトーヨーカドーで使用できる「電子マネー対応カード」のことです。
nanacoカードは、カードをただ提示してポイントがつくようないわゆるポイントカードではなく、カードにお金を入れる(チャージ)し、カードで買物をすることでポイントがつくシステムです。
nanacoカードを使って買物をすると、ポイント加盟店での買物100円(税抜)につき1ポイントが貯まります。(ただし、納税や公共料金の支払いにはポイントはつきません)
nanacoカードのチャージ方法は、店頭で直接現金を入れるか、クレジットカードを事前登録しておく方法があります。
国税は、納付税額が30万以下の場合であれば、コンビニ払いの納付書を選択することができますので、クレジットカードでのチャージを選び、セブンイレブンなどの店頭で納税することで、間接的にクレジットカード納税を行うことができます。
納税によるnanacoポイントはつきませんが、クレジットカードでのチャージにより、クレジットカードにはポイントがつくことになります。
ただ、nanacoカードのチャージ上限は、1ヶ月20万円のため、それ以上の金額の納税はできません。
最後に
いかがでしたでしょうか。
クレジットカード納税は、普段のお買いものではかからない「決済手数料」が自己負担となります。
ポイントがつくからお得、と安易に考えるわけにはいきませんが、納税資金に猶予ができるという点ではメリットもありますので、ぜひ参考にしてください。