【遺言】自分で書ける!失敗しない遺言の書き方〈事例・テンプレートつき〉

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あなたは今、自分で遺言を書きたいと思ってこのサイトを拝見してくれたのだと思います。

遺言は、自分で書くことが可能ではありますが、書き方を間違えると、あなたの想いが正しく実行されなくなる可能性があります。

法的に有効な遺言を書くためには、適切な書き方の知識が必要となります。

ここでは、法的に実行可能な遺言書を、正しく自分で作成するための手順をお話いたします。

ぜひ参考にしてください。

 

【遺言の記入見本(全文)】

 

上記遺言の白地用紙(PDF)はこちらからダウンロードが可能です。

もくじ

1)法的に有効な遺言を自分で書くために必要な最低限のこと4点
2)[手順1]必要な道具や書類を揃える
 2-1)ボールペンや万年筆
 2-2)印鑑
 2-3)遺言を記すための紙
 2-4)遺言を入れておくための封筒
 2-5)登記簿謄本(登記事項全部証明書)
 2-6)通帳
 2-7)株(有価証券)
3)[手順2]タイトル
4)[手順3]相続させたい人
 4-1)相続させたい人は、遺留分(いりゅうぶん)に注意
5)[手順4]財産
 5-1)土地建物(戸建て・マンション)
  5-1-1)法的に認められない土地建物の書き方
 5-2)預貯金
 5-3)株(有価証券)
6)[手順5]日付
7)[手順6]署名・押印
8)その他注意事項
 8-1)「その他遺言者に属する一切の財産を〇〇に相続させる」の一文を入れる
 8-2)遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)を指定する
 8-3)付言事項(ふげんじこう)を記載する
 8-4)祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)を指定する
9)(参考)公正証書遺言とは

 

 

1)法的に有効な遺言を自分で書くために必要な最低限のこと4点

法的に有効な遺言を自分で書くために必要な最低限のことは、以下の点です。

法的に有効な遺言を自分で書くために必要な最低限のこと4点

  • 遺言書の全文を直筆で書く(一部パソコンも認められました。詳しくは後述)
  • 遺言書の末尾に「作成年月日」「署名」「押印」
  • 財産がはっきりと特定できるように書く(登記簿や通帳の通りに)
  • 相続開始時に家庭裁判所で遺言書の「検認手続き」が必要になるので注意

上記が自分で遺言を書くために必要な「最低限のこと」です。
以下から詳しくご説明します。

 

2)[手順1] 必要な道具や書類を揃える

まずは遺言を書くために必要な道具や書類を揃えます。
必要なものは以下になります。

必要な道具

  • ボールペンや万年筆
  • 印鑑
  • 遺言を記すための紙
  • 遺言を入れておくための封筒

 

財産に土地建物や金融資産などがある場合

  • 登記簿謄本(登記事項全部証明書)…法務局にて取得します
  • 通帳…預貯金がある場合
  • 株(有価証券)…証券会社からの取引報告書等
  • その他…ほかに財産がある場合はそれの正式名称等がわかるもの

 

以下からひとつずつご説明します。

 

2-1)ボールペンや万年筆

自分で遺言を書く場合は、ボールペンや万年筆など、消しゴムで消すことができないもので記入します。

今までは、パソコンの利用は完全に不可でしたが、相続税法の改正により2019年1月13日より、財産目録に限りパソコンの使用が認められるようになりました。

(法務省パンフレットより抜粋)

パソコンで財産目録を作成した場合、各ページに署名と押印が必要です。

遺言書の本文については、これまでどおり手書きで作成する必要があります。

 

2-2)印鑑

印鑑は、認印や三文判などでもかまいません。

ただし、シャチハタなどスタンプは不可です。

実印がおすすめではありますが、これの理由は、本人確認の意味があります。

認印や三文判の押印よりも、実印に印鑑証明書を添付しておくと、

より本人が書いたものと客観的にわかりやすくなるためです。

 

2-3)遺言を記すための紙

遺言を書き記すための紙は、なんでも構いません。

 

2-4)遺言を入れておくための封筒

法的に有効な遺言にするために、必ずしも封筒に入れる必要はありません。

ただ、他人による遺言の書き直しを防ぐためにも、封入して割印しておくことをおすすめします。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において、相続人、もしくはその代理人の立会いがなければ、開封することができません。

これを「検認手続き」といいます。(封印していない遺言書でも検認手続きは必要です)

検認とは、遺言書の形状や加筆訂正のあるなし、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

家族が遺言を発見した時に、うっかり開封しないように、「開封せずに家庭裁判所に提出すること」と封筒に書いておくとよいでしょう。

 

2-5)登記簿謄本(登記事項全部証明書)

土地建物については、登記簿謄本(登記事項証明書)の記載と一致させる必要があります。
実際の記入方法については、下記でご説明します。

 

2-6)通帳

預貯金を遺言に残したい場合は、通帳を見ながら正確に転記します。
実際の記入方法については、下記でご説明します。

 

2-7)株(有価証券)

株(有価証券)については、証券会社からの取引報告書等を参考に記載します。
実際の記入方法については、下記でご説明します。

 

3)[手順2] タイトル

1行目はタイトルとして「遺言書」と書きます。
封筒の表書きにも「遺言書」と記載しましょう。

4)[手順3] 相続させたい人

相続させたい人(相続人)の記載方法は、氏名だけでなく、遺言者との「続柄」や「誕生日」も表記するようにしましょう。

4-1)相続させたい人は、遺留分(いりゅうぶん)に注意

遺留分とは、ある一定の範囲の法定相続人に認められた「最低限の財産取り分」のことを言います。

遺言では、本人の意思で財産の分け方を決めることができます。

しかし、完全に自由な分け方を認めてしまうと、相続人のその後の生活が困る場合があるため(例えば残された妻が生活できないなど)、法律では一定の範囲の近しい相続人に遺留分を認めています。

たとえば「お世話になった介護士の方に全額相続させる」という遺言を書いたとします。

その場合でも、遺留分については相続人にその権利がありますから、もし、遺留分を無視して遺言を書いたとしても、法定相続人は「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」をすることで、財産の取り分を請求することができます。

ただ、遺留分を考慮せず、遺言書を作成することは可能です。
その場合は、相続人が遺留分を請求しなければ、遺言の通りに相続は実行されます。

ある一定の範囲の法定相続人とは、以下の通りです。

 

 

 

 

5)[手順4] 財産

財産は、はっきりと特定できるように書く必要があります。

「自宅を長女に相続させる」のような、あいまいな表現では、法的に有効な遺言にはなりません。

以下を参考に、法的に有効な遺言書を作成しましょう。

 

5-1)土地建物(戸建て・マンション)

財産のうち、土地建物(戸建て・マンション)がある場合は、法務局にて登記簿謄本(登記事項全部証明書)を取得して、正確に記載します。

登記簿謄本の住所というのは、通常使用している住所とは記載の仕方が違いますので注意しましょう。

 

【戸建ての場合】

A: 土地の書き方

所在、地番、地目、面積までを登記簿謄本を見ながら正確に記載しましょう。

B 建物の書き方

所在、家屋番号、種類、構造、床面積までを、登記簿謄本を見ながら正確に記載しましょう。

 

【マンションの場合】

A: 一棟の表示

所在、建物の名称を記載します。マンション名と住所になります。

B: 専有部分の建物の表示

家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。
あなたが所有しているマンションの専有部分の情報です。

C: 敷地権(しきちけん)の目的である土地

敷地権とは、簡単に言えば土地に関する権利のことです。
マンションなどの区分所有建物においては、建物と一体化した土地に対する権利のことを言います。
ここでは、土地の符号、所在・地番、地目、面積を記載します。

D: ここでは、敷地権の種類、敷地権の割合を記載します。

 

5-1-1)法的に認められない土地建物の書き方

土地建物を登記簿謄本(登記事項全部証明書)のとおりに記載するだけではなく、分け方についても、あいまいな記載は避けます。

例えば、「土地の前半分を長男に、後ろを長女に」といった記載方法はできません。

なぜなら、ひとつの土地をわけることはできないからです。

財産の分割方法の考え方は原則として以下のようになっています。

財産の分割方法の考え方

  • 順番1)現物分割…財産をそのまま、形状などを変えないで分割する方法です。例えば、土地建物は長男に、預金は次男に、といった分割方法です。
  • 順番2)代償分割(だいしょうぶんかつ)…一人の相続人に法定相続分を超える財産を与え、その一人が超えた代わり(代償)として、他の相続人にお金で支払う方法です。例えば、土地建物は長男が相続する代わりに、長男が次男にお金を支払う、といった方法です。
  • 順番3)換価分割(かんかぶんかつ)…財産をお金に変えたうえで、お金で分配する方法です。例えば、財産の土地建物は売却して、長男と次男で半分ずつお金を受け取る、といった方法です。
  • 順番4)共有分割…財産を共有する方法です。たとえば、ひとつの土地建物を、兄弟で共同所有する方法です。ただ、財産の共有状態は、自分の持ち分だけの処分ができないため、あまり良い状態とは言えません。財産がその性質上、どうしても分割ができない場合や、納得のいく分割方法が見つからなかった時に、やむを得ずとる方法といえます。

上記のような考え方を参考に、財産の分け方を考えるとよいでしょう。

 

5-2)預貯金

財産として残したい通帳の見開き部分を見ながら、金融機関名、支店名、預金種類、口座番号を記入してきます。

預貯金を複数人で分けたい場合は、「長男 田中太郎と、長女 山田和美に2分の1ずつ相続させる」のように、相続させる人の名前とその割合をはっきりと記入します。(下記画像参照)

5-3)株(有価証券)

証券会社からの「取引報告書」等を参考に、正しい証券会社、支店名、有価証券の銘柄と数量を記入します。

端株(はかぶ)がある場合は、「配当金通知書」で確認して記入してください。

※端株とは…取引単位に満たない数の株式のこと。取引単位に満たない株式(端株=単元未満株式)は、証券会社には移管されず、もともとの株主名簿管理人である信託銀行にて「特別口座」で残ります。証券会社の取引報告書には記載されませんので、ご注意ください。

 

6)[手順5] 日付

遺言書には必ず作成年月日を記載します。

作成日付を書くときは、○年○月○日というようにはっきりと分かるように書きます。

○年○月吉日というように、「吉日」と記載してはいけません。

日付を記載する理由は、遺言書が複数存在する場合に、どれが最新の遺言かはっきりさせるためです。

遺言書は、日付の一番新しいものが有効になります。

 

7)[手順6] 署名・押印

最後に、署名と押印をします。

日付、署名、押印のない遺言書は争いのもとになりますので、忘れずに記入しましょう。

署名は、夫婦共同や、連盟は不可です。

遺言は、必ず一人につき一通の遺言を作成しましょう。

 

8)その他注意事項

その他、遺言を作成するにあたり必要な事項は以下の通りです。

 

8-1)「その他遺言者に属する一切の財産を〇〇に相続させる」の一文を入れる

これは、遺言に記載していない財産があった場合に対する記載方法です。

必ずこの一文は入れることをお勧めします。

なぜなら、財産の記入漏れがあると、遺言を執行することが出来ないからです。

また、遺言作成後に預金取引が増えることも考えられます。

この一文があると、そういった財産の異動に対応できるようになります。

 

8-2)遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)を指定する

遺言執行者とは、遺言の内容の通りに名義変更等を行う人です。

遺言で指定がない場合、家庭裁判所に申し立てて選任を受けます。

手続きを簡単にするためにも、必ず指定しましょう。

遺言執行者は、必ずしも財産を受け取る人でなくても構いません。

例)財産を受け取る人  妻  田中 花子
  遺言執行者  長男 田中 太郎  

 

8-3)付言事項(ふげんじこう)を記載する

付言事項とは、法律に定められていない内容について、遺言で書き残しておくことをいいます。

付言事項は、書いても書かなくてもかまいません。

付言事項にどういったことを書くかというと、

・家族への感謝の気持ち
・子供たちへの想い
・どうして遺言内容の通りに相続してほしいのか、その理由

など、財産の分割では表現できない内容を記載します。

法的には効力のない項目ですが、普段、伝えることのない家族への気持ちを遺しておくためにも、記入することをお勧めします。

 

8-4)祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)を指定する

祭祀主宰者とは、お墓や仏壇を受け継ぐ人のことを言います。

葬儀の喪主や、法事の施主も、祭祀主宰者がつとめます。

祭祀主宰者は、法定相続人の順位とは関係ありません。

長男や長女でなくても大丈夫です。

祭祀主宰者は、以下のようなルールによって決まります。

祭祀主宰者の決定ルール

  • 本人の遺言による指定
  • 慣習による定め
  • 家庭裁判所による指定(調停や審判)

祭祀主宰者は、祭祀をとり行わなかったとしても、特に罰則を受けることはありません。

また、引き継いだお墓などの管理や処分は、祭祀主宰者が自由に行うことができます。

必ずしも指定しなければいけない項目ではありませんが、指定しておくことで、無用なトラブルが起きることを回避できることもあります。

 

9)(参考)公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)とは

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成・保管してもらう遺言のことをいいます。
自分で書く遺言(自筆証書遺言)との違い、メリットデメリットは以下のとおりです。

 

【公正証書遺言のメリット】

・家庭裁判所の検認がいらないので、相続手続きがスムーズに進められる
・公証役場に保管されるので紛失や破棄のおそれがない
・全文を直筆で書かなくていい(遺言の作成は公証人のため)

 

【公正証書遺言のデメリット】

・手数料がかかる(数万円。財産額と相続人の人数によって決まります)
・公証人との打ち合わせが面倒

 

公正証書遺言の一番のメリットは、遺された相続人たちの負担が非常に少ないことです。

自身が、手間もお金もかけて作成するものなので、遺言が実行される時には、もっとも手続きがスムーズに進められるような文面を考えて遺言が作成されています。

また、自筆証書遺言は、内容に不備があり、無効になってしまう可能性が多くあります。

遺された家族や親族に負担をかけないため、また自分の遺言が正しく実行されるためには、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

遺言は年々、作成者が増えていますし、2019年より一部パソコン利用もできるようになったりなど、取り組みやすい制度となりました。

上記を参考に、ぜひ自分で作成してみてください。

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