【生前贈与】生前対策を最大限生かした相続税計算事例

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不動産を相続するにあたって、相続税額がいくらかかるのか気になると思います。

不動産、特に土地の相続は、相続税の計算方法により大幅に納税金額が変わってきます。

ここでは一次相続だけでなく、二次相続まで考えた、生前対策を最大限生かした相続税の計算事例をわかりやすくご紹介しています。

ぜひ参考にしてください。

注記:2019年5月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。この事例は、弊社が想定したものを前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありません。具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

もくじ

0. 総額財産2憶2,000万円、東京都台東区と足立区、相続人が妻と子2名の計3名場合

1. 事例のポイント解説

2. 土地(不動産)の評価減ができないか調査してみる

3. 小規模宅地の特例を適用できるようにする

3-1. 老人ホームに入居する場合は、要介護か要支援であれば可
3-2. 子供の所有不動産は賃貸物件として貸し出す

4. 暦年贈与を活用する

5. 生命保険の活用で非課税枠を増やす

6. 相続時精算課税の活用で値上がりを防ぐ

7. 遺言書の活用による分割案

8. 注釈について

 

0. 総額財産2憶2,000万円、東京都台東区と足立区、相続人が妻と子2名の計3名場合

相続人

妻と子2名

自宅住所

自宅は東京都台東区。上野動物園から歩いて5分。

(アパート経営)北千住駅から歩いて5分の足立区。

土地の広さ

台東区:132平米(約40坪)

足立区:200平米(約60坪)

相続財産

土地:(台東区)路線価50万円×132平米=6,600万円

土地:(足立区)路線価50万円×200平米×(1ー(0.7×0.3))=7,900万円

建物:(台東区)500万円…評価額 築15年

建物:(足立区)1,000万円×(1-0.3)=700万円…評価額 築15年

預貯金:3,000万円

国債:1,000万円

株:2,300万円

 

 

 

1. 事例のポイント解説

この事例は、父が生前対策を始めてから10年後に亡くなった場合の相続税の計算事例です。

今回の生前対策のポイントは、母の一次相続財産金額を4,000万円に抑えている点です。

二次相続時の相続人は長女と長男の二人ですから、基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円になります。

つまり、4,200万円を超えると相続税がかかってしまいます。

それを防ぐために、一次相続で長女と長男にすべて相続させ、長男から「代償分割(だいしょうぶんかつ)※1」という形で現金を母に渡すという形をとりました。

しかし、今回の事例は、最大限に生前対策のテクニックを使用した場合のシミュレーションです。

必ずしも「最善の」相続対策であるとは限りません。

一次相続時に、母が相続するべき財産をすべて子に渡してしまうことで、トラブルがおきるケースもあるでしょう。

相続税回避のための生前贈与や生前対策は、いろいろな家庭的な事情を考慮したうえで考えていきましょう。

 

2. 土地(不動産)の評価減ができないか調査してみる

土地(不動産)は、単純に広さだけで値段が決まっているわけではありません。

公道に面していない土地はそれだけで評価が下がりますし、土地がいびつで売りにくい土地、活用しにくい土地も評価が下がります。

今回の場合は、土地が正方形ではなく、いびつな台形だったため、15%の評価減となりました。

 

3. 小規模宅地の特例を適用できるようにする

小規模宅地の特例(しょうきぼたくちのとくれい)※2は、土地の評価減により相続税額を減らすことのできる最も効果的な特例です。

自宅で、小規模宅地の特例を適用するためには、「親と同居すること」が条件です。

この場合の「同居」とは、住民票などの書類上だけのものではなく、たとえば自分あての郵便物など、生活の本拠であることの実態が必要になります。

家の中に仕切りのある二世帯住宅でも小規模宅地の特例が使えます。

今回は、長女が一緒に住んでいることで、小規模宅地の特例を使用することが可能となった事例です。

なお、長男の相続するアパートについては、貸家建付地(かしやたてつけち)※3における小規模宅地の特例ということで、一部について評価額の50%減額を行うことができました。

他に、小規模宅地の特例を適用する場合の注意点やメリットは以下の点になります。

3-1. 老人ホームに入居する場合は、要介護か要支援であれば可

老人ホームに入居する場合は、要介護か要支援であれば、小規模宅地の特例が認められるケースがあります。

ただ、老人ホームであれば必ず認められるわけではなく、元々の居宅がいつでも生活可能なように維持管理されている必要があります。

3-2. 子供の所有不動産は賃貸物件として貸し出す

小規模宅地の特例を適用するには、親と同居する必要がありますが、子も自分で不動産を所有している場合には、その物件は賃貸として人に貸出しすることで、賃貸収入を得ることができます。

 

4. 暦年贈与を活用する

暦年贈与(れきねんぞうよ)※4とは、1月1日から12月31日までの一年間(暦年)に贈与を受けた金額が110万円(基礎控除額)以下なら贈与税の申告が不要な制度です。
 
ただ、相続開始前3年以内に相続人が受けた財産があるときには、相続税の課税価格に、贈与を受けた財産の贈与時の価額を加算します。
 
今回の場合は、生前対策開始から10年間に渡り、兄妹に100万円ずつ贈与したことで、700万円の控除になりました。
 
贈与のテクニックとして、あえて110万円を超える贈与を行い、きちんと贈与申告して納税することもできます。
 
これは、相続税の税率と、贈与税の税率を比べた時に、贈与税の税率のほうが低い場合に用いるテクニックです。
 
今回の場合は、相続時と贈与時の税率がほぼ同じであったため、暦年贈与を活用しました。
 
相続税の税率を前もって確認することで、相続税の税率より低い税率が適用される金額の範囲内で贈与を行えば、贈与税を支払っても結果として税金が安く済みます。
 
 

5. 生命保険の活用で非課税枠を増やす

生命保険金を相続で受け取った場合には、法定相続人1人につき500万円の非課税枠があります。

法定相続人が3人の場合、預金で1,500万円を相続で取得すると評価額は1,500万円ですが、生命保険金で1,500万円受け取っても評価額は0円となります。

今回は、父を被保険者とする1,500万円の一時払終身保険に加入し、預貯金の1,500万円を非課税にすることができました。

 

6. 相続時精算課税の活用で値上がりを防ぐ

相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんいかぜい)※5を選択すると、2,500万円までは贈与税を支払うことはなく、これを超える部分について一律20%の贈与税を納めることになります。

そして相続発生時に、その贈与価格を相続財産に加算して相続税を計算します。

これのメリットは、相続時に加算される贈与財産の評価は、相続開始時ではなく、「贈与時の価額」になるので、将来的に値上がりするであろう不動産を贈与すると、評価額が低くなる計算になります。

今回の場合は、将来的に上がりしそうな株を、長男に相続時精算課税を活用して贈与しました。

なお、既に納付した贈与税額は、相続税から差し引かれます。

 

7. 遺言書の活用による分割案

遺言書を活用して分割案を適切に残しておくことで、一番効果的な相続税対策をとることが可能となります。

せっかく生前対策で誰に何を相続させるかを考えていても、いざ父が亡くなり、相続時に「やっぱり長男である俺が自宅は相続する!」などといって揉めるケースは少なくありません。

今回の場合は、妹が自宅で同居し小規模宅地の特例を適用することで相続税を大幅に抑えることができます。

もし別居中の長男が自宅を相続した場合は、自宅の小規模宅地の特例が使えませんから、相続税も大きく変わります。

ですから、そういったもめ事を防ぐためにも、遺言できちんと財産分与を考え、公正証書遺言に残しておくことをおすすめします。

 

 

注釈

※1:代償分割(だいしょうぶんかつ)…遺産の分割に当たって、共同相続人などのうち、1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して、債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法です。

※2:小規模宅地の特例(しょうきぼたくちのとくれい)…相続税の支払いのために自宅や自営店舗などを手放さないですむように、一定の条件の宅地について大幅な評価減を受けられる制度。適用に要件がああります。

※3:貸家建付地…貸家の目的とされている宅地のこと。一般に相続財産や贈与財産においては、貸家建付地の価額は「自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で算出し、評価する。

※4:暦年贈与(れきねんぞうよ)…1月1日から12月31日までの一年間(暦年)に贈与を受けた金額が110万円(基礎控除額)以下なら贈与税の申告が不要な制度です。相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできません。

※5:相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんいかぜいせいど)…原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

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